兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2009年5月

【月曜】 小児の血尿・蛋白尿

 学校の腎臓検診の陽性者は、全国で小学生4万人、中学生4万5千人程度と考えられています。
 まず、腎臓検診の概略ですが、学校などで第一次検診として尿検査(検尿)を行います。これには早朝尿といって、朝起きたときの尿を用います。女生徒では生理中の採尿は避けて、生理が終わって数日後の尿を検査します。検査で反応が陽性と言われたら、かかりつけ医を受診して、第二次検診を受けましょう。医師が診察をして、必要と認められるときは血圧を計ったり、腎機能を中心とした血液検査をします。
 「蛋白尿」には、あまり害のないものと、病的なものがあります。
 あまり害のない蛋白尿は次の2つです。
 第1は「いっかせい一過性蛋白尿」という軽症のものです。発熱、脱水など健康状態、または運動によって引き起こされることがあります。繰り返し検尿をしても持続する蛋白尿はごく稀です。
 第2は「起立性蛋白尿」または「体位性蛋白尿」というものです。安静時の尿の中には蛋白尿を認めず、立ったり動いたりしたときに蛋白尿を認める場合をいいます。原因ははっきりしていませんが、腎臓内の血液の流れが関係していると言われており、学童期や思春期で最も多くみられます。ほとんどが症状もなく無害です。
 但し、腎臓の機能が低下して起こる、病的な蛋白尿である場合は、以下の病気に注意しましょう。
 病的蛋白尿の第1が「急性し糸きゅうたい球体腎炎」です。「ようれん溶連菌」という細菌感染の後などに急激に発症して、血尿や蛋白尿、高血圧および血液検査でわかる症候群です。利尿剤などで全身状態が改善します。
 第2が「ネフローゼ症候群」です。小児に多く見られ、年間10万人に2~3人の割合で発症します。徴候として、むくみと高コレステロールがみられます。むくみは尿に血液中から蛋白が漏れ出すことにより、血中のアルブミン量が低下するためといわれています。塩分の少ない食事とステロイド内服治療が良く効く疾患です。第3が「しはん紫斑病性腎炎」です。腹痛、関節痛、紫斑などの徴候を示します。小児に多いアレルギー性紫斑病に伴う腎炎ですが、これもステロイド内服治療が良く効く疾患です。  その他の腎臓病もありますが、ここでは省略します。
学校健診で「血尿がある」「尿蛋白が陽性」と言われた時は、まず、かかりつけ医を受診してください。医師は専門の医療機関とも相談して、治療の方針や病気の将来の見通しをたててくれるでしょう。

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