兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

健康情報テレホンサービス

2009年8月

【月曜】 肝炎ウイルスキャリアの妊娠・出産

 ウイルスの中に肝炎や肝硬変あるいは肝臓癌を引き起こすウイルスがあります。その中でも頻度の高いのはB型やC型と呼ばれる肝炎ウイルスです。しかしウイルスを持っていても発病しない人も多いのですが、このような人はウイルスキャリアと呼ばれています。
 そろそろ妊娠をと考えておられるB型あるいはC型肝炎のウイルスキャリアの方、あるいは妊娠して、血液検査ではじめてB型あるいはC型肝炎のウイルスに感染していることがわかった方。心配なのはご自身と赤ちゃんですね。
 お母さんの場合、肝炎ウイルスを持っていても発病していなければ問題はありません。定期的な肝機能検査を受けましょう。  赤ちゃんへの感染のほとんどは妊娠中ではなく分娩の時に産道や胎盤を通じておこります。お母さんから赤ちゃんへの感染の予知や予防する方法があります。
 妊娠がわかった時点で、お母さんが肝炎ウイルスキャリアと判断されると、お母さんの血液中にある、B型・C型それぞれのウイルスの本体がどれだけの活動性があるかを調べることになります。たとえキャリアでも、ウイルス本体の活動性が弱い場合には児への感染はまれであり、逆に活動性が強い場合には児への感染率が高くなるからです。
 さて、赤ちゃんが生まれるとすぐに、臍帯血などから感染がないかどうか調べます。対応はB型とC型では異なり、B型ではウイルスに感染していない赤ちゃんについては免疫グロブリンの投与を行い、キャリアとなるのを予防します。しかし、C型ではいまだワクチンはなく経過をみるだけなのですが、ウイルスが消えてしまう子とそうでない子がいて、まだ詳しいことはわかっていません。B型でもC型でも感染があった場合には定期的検査が必要です。
 母乳による感染は心配ないようですが、感染がなかった子どもについては、以降の感染を予防するためには、お母さんの出血などによる血液の取り扱いには注意が必要です。

2022年 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2006年 2005年
※健康情報テレホンサービス内検索です。