兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2009年11月

【火曜】 脳卒中の患者の歯のブラッシング介助の工夫

 脳卒中の患者さんの日常生活を向上させるためには、歯や歯茎、歯肉などの口腔ケアも大切なことです。今回は、歯のブラッシングを介助する工夫を中心にお話ししましょう。
 脳卒中で、一方の側に麻痺が残ってしまいますと、口の中の知覚麻痺や舌の運動障害によって、障害を受けた側に食物が残っていても、気づきにくくなります。
 まず本人がこれを認識し、麻痺した側を意識してもらうために、手鏡などで麻痺した側を映して視覚にうったえるようにします。麻痺があると、どうしても麻痺した側に食物が溜まりやすく、健側、つまり動かせる側に比べて汚れがひどくなりやすいことをあらかじめ知っておくと、ブラッシングの参考になります。
 次に、唇に麻痺がある時は、唾液が垂れて衣服を汚したり、ぬらしやすいので、エプロンをかけたりタオルを巻いたりする配慮があると良いでしょう。
 また、通常、麻痺している方は握力が弱いので、歯ブラシは麻痺していない方で握ります。グリップが握りにくければ、補助具を取り付けたり布等を巻きつけて、グリップを持ちやすいように太くします。
 歯肉に知覚麻痺があるようでしたら、歯ブラシの毛先による刺激がわかりませんから、歯肉を傷つけないように気をつけます。そのためには、ブラシ圧が強くなりすぎないように、力を加減することが大切です。  麻痺によって手指の運動機能が落ちていたり、今までの利き手でない方に麻痺が残った場合には、利き手の交換をすることになります。利き手を交換している患者さんは、ブラッシングの細かい動きが難しくなって、歯垢をうまく落とすことができません。その場合には電動歯ブラシ等を使うことで、当て方に注意するだけで機械が理想的な動きをやってくれますので、有効な道具の一つとなります。
 ブラッシングが終わった後は、きれいに磨けているかどうか、介助者が確認してあげると良いでしょう。  専門家による点検、異常時の早期発見・早期対処といった意味でも、かかりつけの歯科医師の存在は欠かせません。脳卒中の患者さんは、それぞれ麻痺の程度や、口の中の形や歯並び等が違うわけですから、かかりつけ歯科医師から一人ひとりの状態に応じた助言も可能です。ぜひとも相談してみてください。

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