兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2010年9月

【木曜】 頭を打った時

 頭を打つ状況には多くの要因があり、その後の処置も異なります。不注意で倒れたり、事故や物が飛んできたり、てんかん発作や心臓発作で倒れたりして頭を打つことがあります。てんかん発作や心臓発作では、脳波や心電図検査が必要になります。傷の程度や頭のどの部分が傷ついたか、頭を打った直後の意識変化でも経過が変わることがあります。周りにおられる人は、頭を打った前後の状態をなるべく正確に覚えておいてください。
軽い傷で意識障害もなく、自分で立ち上がることができ、打撲した所の頭痛だけであれば、当日は安静にして経過を見てください。頭のケガは、小さくても出血が多くなりますが、ハンカチなどで強く圧迫して、すぐ外科医を受診してください。

 頭を打ったときに意識障害を伴うようだと、頭の中の出血と関係しますので、周りの人による注意深い観察が必要です。なお、頭を打ったときに記憶を失うことと、意識障害とは異なります。

 記憶を失うというのは、例えばラグビーや柔道で頭に打撲を受け、その後も普通に運動ができているのに、その間の記憶が失われる「外傷性健忘症」と言われる状態です。失われた記憶は元に戻りませんが、多くは異常なく経過します。

 意識障害では、会話や行動に異常を伴い、重傷では昏睡、つまり意識不明の状態になります。持続時間は一瞬から数分が多く、時には長時間持続します。意識障害は、持続時間が長くなれば、脳に傷がついていることが考えられ、回復が難しくなります。その程度と持続時間が非常に大切です。

 意識障害とともにてんかん発作や嘔吐を伴ったりすると危険な兆候です。頭を打った直後のけいれん発作は、「外傷性てんかん発作」と言います。けいれんしている時は、横向きに寝かせ、顔を少し下に向けます。決してあわてて起こしたり口の中に指などは入れないでください。至急に、救急車を呼んで、脳神経外科での処置を受けて下さい。

 また、このような異常がなくても、次にお話しする7つのうち、1つでもあれば受診してください。

 1つ目は、吐き気や嘔吐が続く時です。2つ目は、ぼんやりしてすぐに眠り込んで、起こしても起きない時です。3つ目は、子どもで顔色が悪くなり、ぐったりとして元気がない時です。頭を打った後、機嫌良く遊んでいれば受診する必要性は少ないでしょう。4つ目は、頭痛がだんだんひどくなる時です。5つ目は、手足がしびれ、歩けなくなる時です。6つ目は、38度以上の高熱やけいれんが出る時です。7つ目は、視力が落ちたり、物が二重に見える時です。

 なお中高年では、頭を打った後1~4ヵ月でこれらの症状が出ることもあります。いつごろ、どの順番で現れるかは全く予測できません。いずれにしても、頭を打ったときには、少なくとも2~3日間は十分に注意をしてください。 

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