兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2010年12月

【金土日】年末年始に役立つインフルエンザの知識

 昨年のインフルエンザの流行では、心不全、糖尿病、呼吸器疾患、人工透析などが重症になりやすいと報道されていました。高齢者はなにかと病気を抱えているものですから、心配されている方も多いでしょう。

 まずは予防についてお話します。咳が出ているならば「咳エチケット」として、マスクをするようにしましょう。マスクをしていない時には、肘や袖の部分で咳をしてください。手で覆うことは、飛沫やウイルスが他人に飛び散ってしまうからです。また手洗いやうがいはこまめにしましょう。公共施設などでは消毒液が置かれるようになっています。石鹸で指の間まで丁寧に手洗いして、消毒液も有効に使って、自分が感染しないようにするとともに、周りに感染させないよう心がけましょう。

 抗ウイルス剤として「タミフル」「リレンザ」が有名になりましたが、これは使用している期間だけ予防効果があります。家族に感染者が出た場合に予防的に使うことがありますが、これには医療保険が適用されません。抗ウイルス剤が効かない、いわゆる「薬剤耐性ウイルス」を誘導することもありますから、乱用は慎みたいものです。いざという時に抗ウイルス剤が効かなくなってしまうと、かえって危険なのです。

 インフルエンザの判定検査は、感染した初期には陰性になる可能性があります。そのため、陰性である証明というのは時間がかかるものです。逆に「元気になった、治った」と思っても、ウイルスの感染力は普通、発熱してから7日間は持続するものです。この期間は外出をしないようにしたいものです。

 インフルエンザは本来、3日間の発熱の後、ウイルスの抗体が作られて自然に治癒するものです。ですから初めの3日間が大切ですが、抗ウイルス剤を使わなくても治せます。この期間に解熱剤やペニシリンなどの抗生剤を使うと、かえって重症化することがあります。「熱が出てきた、かかったかな」という時は、まずは水分を十分にとり、解熱剤を使わず、氷枕などで熱を冷ましましょう。医療機関では、水分が摂れないときには点滴をしたり、高熱が続けば安全で有効な飲み薬を処方することもあります。

 熱が高くないのに全身倦怠感が強いとか、胸が痛い、呼吸が苦しい、息が吸いにくい、脈が速い、意識がもうろうとするというのは重症化の前兆です。地域の流行の状況を考えて医療機関は対応していますから、そこの指示に従って診察を受けるようにしましょう。

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