兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2011年5月

【水曜】 まさか私が糖尿病?

 日本には予備軍を含めると2000万人を超える糖尿病患者さんがいると推定されています。全国民の5人にひとり、50代では4人足らずに1人、60代では3人に1人と言われ、もはや国民病としか言いようがありません。しかしこの中には検査を受けていないために、ご自分が糖尿病であると気づかず治療を受けていない方も数多くいます。

 2010年7月より糖尿病の診断基準が変わりました。それについて詳しく説明します。

 血液中の赤血球が、過去1~2カ月の間に血糖と接触した時間と量を測る検査として、HbA1cと呼ばれる検査があります。このHbA1cが6.1%以上を糖尿病型と判断されるようになりました。従来の基準は6.5%以上だったのですが、6.1%以上に引き下げられて、より厳しい基準になりました。これは糖尿病が、初期の段階から合併症が発生するという研究結果を踏まえてのものです。

 これに加えて、空腹時の血糖126mg/dl、あるいは食後の血糖200mg/dl以上が確認されれば糖尿病の診断が確定します。HbA1cや血糖は特定健診の血液検査にも含まれています。

 糖尿病の合併症としてよく知られているのは、目の網膜の障害、腎臓の障害、神経の障害です。いずれも高血糖のために細い血管の流れが悪くなって起きる症状で、糖尿病を10年近くわずらった後に出現するものです。血糖が正常より少し高いぐらいだからと、糖尿病を治療しないまま放置すると、失明したり、定期的な透析療法を受けなければならない可能性があります。さらに最近は、糖尿病に伴う動脈硬化症から、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすケースもよく見られます。動脈硬化症は糖尿病予備軍の段階から進むことがわかっており、糖尿病と診断されたときには既に危険なレベルまで進行していることも珍しくありません。

 糖尿病は、軽い段階では自覚症状が表に出てこない病気です。むしろ症状がないために放置されていることが恐ろしいのです。合併症がはっきりしてから治療を始めたものの回復が困難となり、もう少し早く糖尿病に気づいておけばと後悔するケースは珍しくありません。「自分もそうかもしれない」という意識を持って、積極的に検診を受けたり、医療機関で検査して、早期発見・早期治療をするようおすすめします。

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