兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2011年11月

【月曜】 蚊が飛ぶように見える"飛蚊(ひぶん)症"

 眼科を受診され方の中には、点や紐や膜のようなものが、蚊のように目の前で飛んで見えるという訴えをされる方が多くいらっしゃいます。この「飛蚊症」と呼ばれる症状の原因と対処法について、お話しいたしましょう。

 飛蚊症は、眼球の中にある、硝子体(しょうしたい)と呼ばれる透明なゼリーの中にできた濁りが、網膜というスクリーンにその影を映したものです。この硝子体の中の濁りの原因として、病的なものと、そうでないものがあります。

 多くの場合は病気ではなく、硝子体の中にある正常な繊維や細胞の成分が光の加減で影になり、網膜に映る、「生理的飛蚊症」とよばれるものです。また、近視の人で硝子体の中にできた空洞の淵についた濁りによるものも、まず心配のないものです。さらに、60歳以上の人に多い加齢による現象で、硝子体が網膜から剥がれ、硝子体の後ろ側の膜が網膜に映るために起こる「後部硝子体剥離」とよばれるものも、そのまま経過をみておいても良いものです。 

 しかし、病気として至急に治療を受けなければならないのは、網膜に穴が開く「網膜裂孔」や、網膜が剥がれてくる「網膜剥離」、糖尿病や網膜の血管による病気やけがなどで硝子体の中に血液が流れ込む「硝子体出血」、そして、網膜を包む葡萄膜(ぶどうまく)という部分や眼の中に炎症が起きて硝子体の中に濁りができる時です。

 このような症状があると、飛蚊症が日毎にひどくなったり、かすんだり、光が見えたり、膜が揺らいで見えたり、視野が欠けて見えるなど、他の症状が出てくることもあります。そのままにしておくと視力が低下することがありますから、レーザー光線を当てたり、薬などで早急に治療をする必要があります。

 このように、飛蚊症の原因にはピンからキリまであります。経過を見ていても良いか、早急に治療をしなければならないかの鑑別をするために、早めに眼科を受診し、手遅れにならないようにすることが大切でしょう。 

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