兵庫県保険医協会

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2012年2月

【水曜】 手足のふるえでパーキンソン病を疑うとき

 手足がふるえる人の中にはパーキンソン病と診断される方がおられます。この病気は1817年にイギリスの医師ジェームス・パーキンソンによって初めて報告されました。現在、日本では人口1000人あたり1人の患者さんがおられると推定されていて、これからの高齢化に伴いより増えていくものと考えられています。

 この病気のふるえの特徴は、じっとしているときにいつの間にか片方の手や足が小刻みに動いているところです。しかしふるえていても何か動作をするとき、例えば手を伸ばしてコップをとって水を飲むといった一連の動きは意外とスムーズに行えます。ふるえの特徴を良く観察することは、他のふるえをきたす病気との鑑別に役立ちます。

 またパーキンソン病の場合ではふるえ以外に、身体の動きがぎこちなくなりバランスを乱しやすい、顔つきも硬くなり表情が乏しくなる、声が小さく聞き取りにくくなる、よだれがこぼれやすい、背中が曲がった姿勢となり歩くとすり足になるなど、身体全体にも影響が及びます。

 パーキンソン病の診断で重要なことは、この病気に特徴的な症状を見つけ出すことです。パーキンソン病では血液の検査や脳のMRI検査などでは特に異常は見られません。注意することは、パーキンソン病に似た症状を起こす病気、これをパーキンソン症候群と呼びますが、それらと区別するために詳しい検査が必要になります。

 パーキンソン病は、脳の中のドーパミンと呼ばれる物質が不足するために起こります。したがって治療はドーパミンを補充する薬物療法が中心です。定期的に薬を飲むことで通常の日常生活や社会生活をおくっている人は少なくありません。高血圧や糖尿病のように長く付き合っていく病気なので、根気良く治療を続けることが必要です。

 手足のふるえが気になる場合には、かかりつけの医師に相談されて、必要な場合は脳神経系の病気を専門に診療している神経内科で診てもらってください。

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