兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2012年3月

【金土日】介護保険はどう変わるの?

 国会は昨年春に、衆参あわせてたった18時間の審議だけで、ほとんどの国民が知らないままに介護保険制度を改定しました。「介護を社会化する」と宣伝して2000年にスタートさせたこの制度は、内容がどんどん悪くなっていないでしょうか。今年の4月から変わる内容の問題点をお話します。

 まず「複合型サービス」と呼ばれるものは、地域密着型の事業である「通い」「訪問」「泊まり」にきめ細かく対応できるとしています。しかしスタッフの配置や処遇等についての詳細は省令が出ないと分からないという状況です。

 また「介護予防・日常生活支援総合事業」が新設され、介護度の軽い「要支援」とされている人に、見守りや宅配給食のサービスを含めることにして、選べるメニューが増えたように見えます。しかし、保険料を払っているのに、介護度が軽いからと介護サービスが使えなくなったり、地元の自治体の判断で作られた安上がりで低い水準のものにされる可能性があります。

 その他、「定期巡回・随時対応サービス」では、看護師やヘルパーの夜間も含めた勤務が前提となり、地域によっては人材確保が困難となるでしょう。また2009年に介護職員処遇改善のための交付金が創設されて全額を国が負担してきましたが、財源の仕組みを変えて、これからは利用者の一部負担金から捻出しようとしています。さらに40歳~64歳の介護保険料は、加入者の所得に応じたボーナスからも徴収しようとしています。

 介護保険制度のサービスを提供する施設系や居住系の医療機関や事業所に対しては、入院・入所できるベットを減らして在宅看取りへ誘導したり、医師にしかできない治療行為を看護師にさせたり、看護師による診療の補助を介護職員にさせようとしています。

 また、ケアプランの有料化や、「新しい公共」という名目でボランティアに依拠した安上がりなものや、逆に、営利企業に丸投げした高額なものに変えられようとしています。

 私たち都道府県の保険医協会や全国組織である保険医団体連合会(保団連)は、介護保険が始まる前から、「介護は私的な問題として解決するのではなく、憲法の13条や25条に基づいて、国民の生存権を保障するものとして、国が責任を持って解決すべき」と主張してきました。引き続き、必要な介護サービスが制限されてしまう人を出さないようにすること、受けられる介護サービスの範囲を拡大すること、それを保障する公定価格である介護報酬を引き上げることを求めていきます。ともに声をあげていきましょう。

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