兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2012年9月

【水曜】 Hib(ヒブ)ワクチンと小児肺炎球菌ワクチン

 いま、小児の救急医療が大きく変わろうとしています。現在、休日や夜間の応急診療所には小児が溢れています。その中に、急な発熱などによる乳幼児が多く含まれています。ほとんどは、風邪などによる発熱で緊急性を要さず、翌日にかかりつけ医に診てもらって全く問題ないのです。しかし、時にその中に重症な感染症の患者が含まれていて、一刻を争う場合があります。それが「ヘモフィルス・インフルエンザb型菌(Hib、ヒブ)」と、「肺炎球菌」によって起こる髄膜炎、敗血症です。

 Hibと肺炎球菌は、乳幼児の髄膜炎や敗血症を引き起こす細菌で、時に命にかかわったり、治っても後遺症を残すこともある恐ろしい病原菌です。これらの細菌による髄膜炎・敗血症の初期症状は発熱のみで、ベテランの小児科医でもなかなか早期診断が困難な疾患です。このような事情から、特に、応急診療所での診察では、乳幼児の発熱患者に自信を持って「大丈夫です、明日かかりつけ医の先生に診てもらいましょう」とは言えないのです。

 1985年に米国で、Hibワクチンの定期接種化が実施されました。すると年間2万人以上も発生していたHibによる重症な感染症が100分の1になりました。この事実が世界に与えた衝撃は強烈で、またたく間に世界100力国以上の国で、Hibワクチンの定期接種化が実施されました。

 小児肺炎球菌ワクチンも全く同様で、2000年に米国で定期接種化が実施され、重症な小児肺炎球菌感染が激減しています。

 遅ればせながら、日本もやっと2011年度から、公費助成によるHibワクチンと小児肺炎球菌ワクチンの実施が行われ、2013年度からは定期接種化が予定されています。

 これらのワクチンの接種率が順調に上昇すると、最初に申し上げましたような乳幼児の突然の発熱に対し、小児科医は自信を持って「明日かかりつけ医に診てもらって、大丈夫ですよ」と言えるのです。

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