兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2012年10月

【木曜】 内視鏡による消化器手術

 世界に先駆けて大腸ポリープの内視鏡切除が行われるなど、我が国の消化器内視鏡による治療は世界をリードしています。

 大腸では大腸ポリープ切除術が有名です。大腸がんの95%は大腸ポリープを経て発症することが明らかとなり、大腸ポリープは10mmを超えると、高い確率でがんになることがわかっています。もしポリープにがんが生じている場合でも早期がんであることがほとんどです。大腸カメラによる大腸ポリープ切除術を受けることで、ポリープや早期大腸がんの治療、さらには大腸がんの予防が可能です。大腸がんは現在わが国で2番目に多くみられるがんですが食生活の欧米化に伴い、2015年には一番多いがんになると考えられています。50歳を過ぎれば大腸がん検診の便検査が大丈夫でも一度大腸カメラを受け、ポリープがあればポリープ切除を受けておくのが良いでしょう。

 また、ポリープ状ではなく平坦な形の早期の胃がんや食道がんに対しても、胃カメラを用いてアイティーナイフという手術器具を使い早期がんのところを剥ぎ取る手術法(粘膜下層剥離術)が確立されています。3cm以下の早期食道がんや2cm以下の早期胃がんで、リンパ節転移のない症例に対して数多く行われています。

 胃がんは、現在わが国で一番多くみられるがんで、ピロリ菌が原因であることがわかっています。除菌治療を40歳代までに行うことで予防できることが分かり、保険適応外ですが、胃がんの予防として除菌治療をされる方が増えています。除菌治療の後でも症状があれば、医療保険による胃カメラを受けて、内視鏡治療が可能な早期胃がんの段階で見つけることもできるでしょう。

 他にも、誤って飲み込んだ硬貨や入れ歯などを取り出す手術(異物摘出術)、消化管の細くなった部分を広げる手術(狭窄拡張術)、肝硬変患者さんの食道にでる食道静脈瘤という血管のこぶを消失させる手術(硬化療法)、胃潰瘍の出血を止める手術(止血術)など、胃カメラを用いた治療も普及しています。

 また、十二指腸カメラを用いて、十二指腸にある胆管の出口を切り広げて、胆管の結石を取り除く手術(胆管結石摘出術)、手術不能の胆管がんや膵臓がんにより胆管がふさがったために生じた黄疸に対して、金属製の筒を胆管にはめ込む手術(胆管ステント留置術)も行われています。

 内視鏡手術は、開腹手術に変わる体に負担の少ない手術として、これからもますます発展を遂げていくと思われます。皆さんも胃カメラや大腸カメラを用いた内視鏡治療の恩恵を受けることが可能です。町の消化器内視鏡専門医にご相談ください。

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