兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2014年1月

【木曜】 脂肪肝の話

 糖分や脂肪分が多くて野菜の少ない食生活や、運動不足という生活習慣の変化から、最近は肥満傾向になる人が増えています。

 エネルギーの消費が供給に迫いつかないと、余ったエネルギーは中性脂肪になって、皮下脂肪や内臓脂肪として貯留します。

 内臓脂肪が増え、さらに高血圧や脂質異常、糖尿病があると、動脈硬化が進み、脳や心臓や足の血管が詰まってしまう病気、また慢性腎臓病になりやすくなります。

 肝臓が脂肪を取り込むと、フォアグラのような「脂肪肝」と呼ばれる状態になります。

 中性脂肪が蓄えられて細胞が膨張すると、肝臓内の血液循環が悪くなって細胞が入れ替わる、いわゆる代謝に悪影響を与えます。

 お酒を多く飲む人は、代謝の関係で脂肪肝になりやすいのですが、お酒を飲まなくても、カロリー摂取が過剰になると脂肪肝の原因になります。急激なダイエットの繰り返しや、甲状腺や副腎などの病気、あるいは妊娠に合併して脂肪肝が起こることもあります。

 肝臓が悪いというと、肝炎ウイルスやアルコールによるものを思い浮かべ、脂肪肝ではあまり進行した病気で無いという印象を持ちがちです。しかし、アルコールをほとんど飲まないけれど生活習慣病のある方では、脂肪肝の10%は肝硬変や肝がんに進行するものがある、ということも判ってきました。これらは「非アルコール性脂肪性肝炎」と呼ばれています。

 脂肪肝の治療は、生活習慣の改善が大きなポイントになります。裏を返せば、普段から食事や運動に注意することで脂肪肝になることの予防もできます。

 食事療法は、カロリー制限が基本です。脂肪も20%以下をめざしましょう。砂糖や菓子類を減らすように心がけましょう。運動療法では散歩やジョギング、自転車、水泳などを1日10~30分、1週聞に3~5回をめどに行いましょう。

 肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、症状が出た時には肝硬変や肝がんにまで進行して、治療が困難になることもあります。特に、非アルコール性脂肪性肝炎の診断は難しいため、専門医の受診が必要になります。

 健診等で、肝機能の検査や生活習慣病関連の検査に異常が出ている場合には、かかりつけ医や消化器専門医で、ぜひ精密検査を受けましょう。

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