兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

健康情報テレホンサービス

2014年8月

【金土日】PTSD(外傷後ストレス障がい)

 災害や事件など生死に関わる出来事を、「外傷」とか「トラウマ」といいます。「トラウマ」が原因で起こる精神的な病気が、「外傷後ストレス障がい」、英語の頭文字をとってPTSDと呼んでいます。「障がい」とは精神科的な病気のことです。

 ショッキングな事件や事故や災害に遭遇すると、肉体的・物質的なサポートだけでは不十分で、精神面のケアも重要だということが定着してきています。

 きっかけは阪神・淡路大震災でした。東日本大震災は一段と注目されて、今では一般用語になっています。

 精神的な病気は、誘因があまりはっきりしないために、早期発見を含めた診断や治療が困難になりがちで、外面的に理解されにくいものです。そうした中でPTSDは、誘因がはっきりしている唯一の疾患とも言えます。

 PTSDは、まずその症状を知ることが大切です。以下にあげる、3つの症状が揃って1カ月間以上続いた時に、PTSDの診断が確定して専門家による治療を必要とします。

 1つ目は、悪夢や些細な刺激で、きっかけとなった出来事の記億が鮮明によみがえる、「フラッシュバック」という現象です。まるでその場にいるような恐怖にとらわれてしまいます。

 2つ目は、きっかけとなった出来事と関連した話や場所や音などの刺激を避ける「回避行動」です。感覚が麻痺する状態も出現します。

 3つ目は、睡眠が障がいされたり、些細なことで怒りが爆発するとか、過度に警戒心や恐怖心を抱くという「過覚醒」です。神経過敏で情緒不安定な状態です。

 治療には、抗不安薬や抗うつ薬などを中心とした薬物治療と同時に、カウンセリング等の精神療法が必要です。運動療法などが有効な場合もあるでしょう。

 周りの方に気をつけていただきたいことが2つあります。

 1つ目は、ご本人を励ますつもりで、「過去の出来事だから忘れてしまいなさい」とか、「いつまでもくよくよせず前向きに」などと言ってしまうかも分かりません。PTSDの診断が確定したら、専門家の治療を優先しましょう。

 2つ目は、きっかけとなった出来事を本人が積極的に話す場合は、周りの人はしっかり聴いて受け止めてあげることが大切ですが、むやみに聴き過ぎるとかえって悪化させる場合がありますから、注意しましょう。

 専門家が行う精神療法は、解決へと向かわせるように患者さんの訴えを聴いていきます。

2022年 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2006年 2005年
※健康情報テレホンサービス内検索です。