兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2014年11月

【水曜】 痔の予防

 痔の病気は、「痔核・いぼ痔」、「痔瘻・あな痔」、「裂肛・きれ痔」の3つに代表されています。

 今回は痔の予防を中心にお話します。

 1つ目の「痔核・いぼ痔」は、主に肛門周辺の血行が悪くなって起こる病気です。排便時間が長くなってしまったり、拭く時に紙がたくさん必要な場合は、実は便が十分に出ていないことが多いです。そのため肛門の奥の方で血管が圧迫され、肛門周辺の血管が腫れることになります。便の硬さは練り歯磨き程度が望ましく、出始めの便が硬い場合は、前回の排便時に十分な排泄ができていなかった時です。

 便秘とは便が出ないことではありません。直腸の便感知能力が低下して「直腸型便秘」と呼ばれる、排便時に直腸の下部に便が残りやすくなり、排便時の圧迫によって肛門周辺の血管が腫れることになります。また下痢は、便の通過スピードが早いために、常に便が腸の中に溜まりやすく、排便の回数が多くなって肛門の負担が大きくなるため、痔にかかりやすくなります。アルコールは、摂取量は少ないと思っても腸管の血管内に吸収される割合が多くなって、痔核を起こしやすくなります。最近は、温水便座の水圧や温度が高すぎて痔核になる方も増えています。

 2つ目の「痔瘻・あな痔」は、肛門のくぼみからばい菌が入る病気です。悪化して肛門周囲に膿瘍、つまり膿の溜まった状態で医院を受診することが多いです。

 膿瘍内部には抗生剤による治療効果は少ないことと、切開して膿を出す治療法で楽になることが多いため、出来るだけ早く専門の医師に診せる方が良いでしょう。膿瘍の中には命に関わる危険なタイプのものもあるため、早く専門の医師に診せてください。

 痔瘻や肛門周囲膿瘍は、腸の疾患、アルコールの摂取、体力の低下から下痢を起こした後に発症することが多いです。

 3つ目の「裂肛・きれ痔」は、肛門の皮膚が切れて痛みや出血を起こした病気です。

 硬い便と下痢便の両方の原因から起こるため、便のコントロールで症状を改善できます。早期に治療すれば手術になることはありません。しかし肛門の外にとびだす「牽引性の裂肛」とよばれるものや、裂肛が慢性化してイボやポリープができてしまった重症になれば、手術が必要になります。

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