兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2015年3月

【月曜】 輸血製剤と献血

 輸血は、不足した血液成分を補う治療法です。血液を一つの臓器と考えれば、最も頻繁に行われる臓器移植であると言えます。

 現在の医療は、完全に血液に代わる人工血液が未だ開発されていないため、輸血製剤は日本赤十字社の血液事業としてすべて市民の献血で成り立っています。

 献血を行う際は、対象者に問診と事前検査を経て血液を採取します。採取した血液は全国8ケ所の赤十字センターで、安全に他人に輸血するために様々な検査が行われます。血液型や抗原・抗体検査、肝臓や腎臓に異常がないかを調べる検査、白血球や赤血球数を調べる検査、いろいろなウイルスに感染していないかを調べる核酸増幅検査と呼ばれるものなどがあります。

 しかし感染初期などの血液は、高い感度の検査法を用いてもウイルスが検出できないことがあるため、献血される方は責任ある献血を心がけていただくことが必要です。

 輸血製剤には、主なものに「赤血球製剤」「血漿製剤」「血小板製剤」があります。それぞれに厳密な使用期限が設けられていますから、安定した供給を行うために全国で日々献血業務が行われているわけです。

 輸血製剤の安全対策として、平成19年から全血献血由来の保存前白血球除去が行われています。これにより、すべての輸血製剤において保存前に白血球が除去されています。また、赤血球製剤と血小板製剤は、白血球が患者さんを攻撃する輸血後の「GVHD」(Graft-Versus-Host Disease、移植片(いしょくへん)宿主(しゅくしゅ)病)という病気を予防するために、微量の放射線を照射して混在するリンパ球の機能をなくしています。

 最後に、輸血を必要とする患者さんにとって、輸血製剤は欠かせない治療法です。現代科学でも輸血が100%安全とは言い切れませんが、我が国は他国と比較しても、非常に安全に施行できる体制を維持しています。また予定された手術によっては、事前に採取した自分自身の血液を輸血する「自己血輸血」という方法もあります。

 正しく理解することで、輸血療法はより安全なものとなります。

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