兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2015年7月

【木曜】 血液中の尿酸値と寿命

 血液中の尿酸は、遺伝情報を担うプリン塩基という物質の老廃物です。

 尿酸自体は、活性酸素を抑えたり血管拡張の作用もあることから、アンチエイジングの効果があると言われています。正常値(2.1~7.0 mg/dl)であれば、心臓や血管の病気との因果関係はありません。

 尿酸値が7.0mg/dlを超えるものが「高尿酸血症」です。痛風関節炎の原因であり、慢性腎臓病(CKD)の症状が出たり進行の具合にも関係します。

 逆に、腎臓から多量の尿酸が排泄され、尿酸値が2.0mg/dl以下に低下する「腎性低尿酸血症」は、無酸素運動後に起こりやすい「急性腎不全」(ALPE)の危険因子です。この急性腎不全は、無酸素運動後に腎臓の血流が悪くなり、背中や腰の激しい痛みを伴うため、症状によっては一時的に血液透析治療を要することもありますから、注意が必要です。

 日本では、成人男性における高尿酸血症は4~5人に1人で、100人に1人の割合で痛風の症状が出ると報告されています。2004年に米国での大規模な研究で、痛風が出る人は、魚介類の摂取やビールで1.5倍、肉類で1.4倍、BMIが高いと1.2倍、スピリッツで1.2倍と高くなり、逆にワインでは無関係、果物や乳製品の摂取、適度な運動をすることでそれぞれ0.6倍、コーヒーを1日6杯以上飲むことで0.4倍と低かったとの報告があります。

 血清尿酸値の増加に伴って、メタボリックシンドロームの頻度は増加します。糖尿病では、腎臓で尿酸の再吸収が増加し、将来は高血圧を起こしやすくなります。

 尿酸値のコントロールによって、悪性腫瘍のリスクや総死亡のリスクが低下するかは、今のところ不明です。

 痛風による腎不全は、慢性痛風患者の18~41%に合併し、もっとも多い死因であると言われています。病理学的には、尿酸結晶による尿管の閉塞、腎臓の炎症、結石をきたします。これらには尿酸が多く作られ、それに伴って尿酸の排泄が高まることが関与しています。

 高尿酸血症の治療は、メタボ、肥満、高血圧、脂質代謝異常、糖尿病などに関係する生活習慣を改善することがもっとも大切です。

 痛風関節炎を繰り返す場合は薬物療法が有効です。血清尿酸値を6.0mg/dl以下に、無症候性高尿酸血症では8.0mg/dl以上を目安に、薬物治療を開始します。

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