兵庫県保険医協会

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2015年10月

【水曜】 C型慢性肝炎治療の進歩

 C型慢性肝炎に対する治療は、1992年に保険適用されたインターフェロン療法から長足の進歩を遂げました。とりわけ、21世紀に入って開発された、週1回の注射薬であるインターフェロンと、飲み薬であるリバビリンを組み合わせる「2剤併用療法」と呼ばれる治療法によって、最も難治性であるウイルス量の多い1型の患者に対しても、ウイルスが駆除される良い効果、すなわち著効が50%以上も得られるようになりました。

 その後、第1世代型と呼ばれる、飲み薬のテラプレビル(NS3-4セリンプロテアーゼ阻害薬)の12週間投与とともに、先ほどの2剤併用療法を24週間投与する「3剤併用療法」と呼ばれるものが、2011年11月に保険適用されました。治療成績は、初回例では90%、治療後に再発した例では90%、前回治療で無効だった例では65%という著効率です。

 次いで、第2世代型と呼ばれる、飲み薬のシメプレビルナトリウム(セリンプロテアーゼ阻害薬)を12週間投与する治療法が、2013年12月に保険適用となりました。2剤併用療法だけの臨床成績と比較すると、初回例や治療後の再発例ではともに90%、前回治療で無効だった例では50%という著効率です。テラプレビルに見られた皮疹などの副作用もなく、貧血も2剤併用療法と同程度で、極めて軽度なことが挙げられます。

 さらに2014年9月からは、インターフェロンを用いない(いわゆるIFNfree)飲み薬2剤が、世界に先駆けて保険適用されました。これは、アスナプレビル(NS3-4領域の第2世代型のプロテアーゼ阻害薬)と、ダクラタスビル(NS5領域に対する複製複合体阻害薬) という2種類の飲み薬を組み合わせて、24週間にわたって投与する治療法です。臨床試験の成績は、2剤併用療法では前回治療で無効だった例の方の80%、インターフェロンが不適格・不耐応の方の87%という著効率です。ただし副作用として、高度の肝機能異常が数%報告されています。

 直近の2015年7月から、レジパスビル(NS5A複製複合体阻害薬)とソホスブビル(核酸型ポリメラーゼNS5B阻害薬)を組み合わせた配合剤が保険適用となり、治験成績は98%以上という著効率が報告されています。

 一方、2型のC型慢性肝炎についても、2剤併用療法の24週間投与で80%の比較的高い著効率でしたが、2015年6月に保険適用となったソホスブビルとリバビリンの組み合わせをl2週間投与することで、著効率95%以上と上昇して大きく前進しました。現在まで重い副作用は報告されていません。

 治療にかかる費用や肝炎治療の公費助成事業のことも含めて、専門の医療機関にご相談ください。

 

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