兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2016年3月

【月曜】 妊婦さんの服薬

 妊娠中の服薬は、かつてサリドマイド奇形などが世界中を震撼させたこともあって、非常に恐れられています。一般的に薬の副作用は、つけ薬・飲み薬・注射薬の順に副作用が強くなる傾向にあります。たしかに、薬剤には奇形や胎児死亡などの重大な副作用を持つものもありますが、副作用がないか少ないものもあります。

 妊娠中の飲み薬の副作用は、その強さによって次のように分類できます。

 1つ目に、副作用がまずないと考えられるものです。セフェム系など一定の種類の抗生物質や、水に溶けるタイプのビタミン類、利尿剤、膣用のつけ薬、かゆみ止めの飲み薬などの一部が該当します。しかし、薬全体の中では非常に少数であり、抗生物質やビタミン類にはむしろ有害なものの方が多いと言えます。

 2つ目に、副作用がないとは証明できないものです。副作用を生ずる可能性もあるので、治療上の有効性が危険性を上回る場合にのみ処方するように、薬の説明書にも書かれています。すなわち、医師の裁量権で処方しなければならないグループです。このグループに属するものが、最も多いと言えます。

 3つ目に、明らかな副作用があるものです。抗生物質の大部分、性ホルモン剤、向精神薬など多数あります。

 特に妊婦さんの服薬で、副作用として最も多くみられるのは、受精直後に胎児を危険にさらすというもので、最悪の場合は流産となります。また胎児の奇形は、流産より少ないのですが、妊娠初期すなわち妊娠12週までに薬剤の影響を受けた場合に発生することが多いのです。

 妊娠中は、できるだけ薬を使わない方がよく、たとえば風邪をひいたら安静にするなどして対応すべきです。インフルエンザワクチンは受けて下さい。持病を持っている方など、どうしても薬が必要な場合は、かかりつけ医に相談してください。副作用をおそれて人工妊娠中絶すべき場合はそんなに多くありませんが、絶対に危険はないとは言い切れません。高齢妊娠で最後の出産になるかもしれない方などは、副作用の影響などについてよくかかりつけ医と相談してください。

 なお、出産後の服薬については、母乳による乳児への薬剤の影響はほとんど問題にならないようです。

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