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健康情報テレホンサービス

2016年5月

【火曜】 糖質制限食とは

 糖質制限食は2014年から日本で急速に広がりつつあります。元々は糖尿病治療食として、日本では、1999年に愛媛県の整形外科医の釜池豊秋先生が開始されました。続いて京都の内科医の江部康二先生が臨床例を積み重ねられ、2005年に『主食を抜けば糖尿病は良くなる』という本を出版されました。そして、2007年には釜池先生が『糖質ゼロの食事術』という本を出版され、日本糖尿病学会のカロリー制限食に真っ向から挑戦状を叩きつけられました。

 それから約10年経過した2016年現在、アメリカ糖尿病学会は糖質制限食の有用性を認めています。日本糖尿病学会はカロリー制限を少し緩め、糖質摂取を少し控えめにしていますが、基本的には従来通りの考え方であり、世界の潮流から少し乗り遅れています。

 ポイントの第一点は、食後の血糖値は糖質のみが上昇させ、たんぱく質や脂質は血糖値を上昇させないということです。従って、糖質を摂らなければ食後血糖値は上昇しませんので、基本的には薬は不要ということです。ただし、糖尿病の薬を飲んでいる人など治療中の人は主治医とよくご相談下さい。第二点は、糖質を摂取しなければ脳が働かないのではないかと心配される方もおられますが、糖質の代わりに脂質である中性脂肪からケトン体が作られ、これが脳神経細胞の良好な栄養要素となるため、心配に及ばないということです。

 また、最近では、糖質制限食は、肥満、癌、認知症、骨粗しょう症、歯周病などの多くの疾患に有用であり、人類の本来の健康食であるとの認識が受け入れられつつあります。人類600万年の歴史のうち、糖質を摂取しだしたのは縄文時代からのたかが1万年にすぎないという訳です。

 ちなみに、糖質摂取割合に関しては、日本糖尿病学会は50〜60%を推奨していますが、釜池先生は0〜5%、江部先生は12%〜35%程度を推奨されています。肥満治療に応用している兵庫県の整形外科医の中村巧先生は33%を推奨しています。

 ただし、現在糖尿病で投薬治療を受けられている方や、肝臓機能障害などの疾患のある方は、主治医と十分ご相談下さい。

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