兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2016年12月

【水曜】 おりもの(帯下)について

 おりものは女性の一生についてまわる症状です。生まれてから死ぬまで悩まされる症状なのです。おむつからパンツの汚れまで気になるものです。白色、茶色、茶褐色、匂いが気になる、外陰部がかゆいとか痛い、血がついたなどの訴えが多いようです。外来に来られる患者さんには乳幼児や児童、思春期の女子、妊娠中から出産後、更年期女性、初老期から老人期、老人ホームの患者さん、車椅子利用の患者さんなど多種多様です。

 女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)がよく分泌されている時期と分泌が減少したりほとんど分泌されなくなつた時期の二つに分けて考えられます。女性ホルモンの分泌は、幼児期、思春期、成熟期、更年期、老年期に応じて変動します。赤ちゃんは母親からのホルモンが影響しているし、思春期から成熟期にかけて女性ホルモンと脳下垂体ホルモンとの調節により月経と排卵がみられ、更年期には月経不順と排卵停止が起こり、その後老年期にいたります。

 女性性器は外性器、膣、子宮、卵巣、乳房からなり、それらは性交渉、妊娠、出産、授乳による育児が重要な目的であり、地上から人類が滅びないためのものです。おりものは正常なホルモン作用をあらわし、膣内の自浄作用や排卵現象を表わす正常な生理現象です。異常に多い、酒かす様、匂いが強くて黄色くて泡立つ状態、外陰部がかゆくヒリヒリするとき、出血しやすいときは婦人科の診察が必要です。

 性交渉後数日してから、おりものが多く下腹部に痛みを感じる場合には性感染症が疑われるので検査が必要です。出血をともなうときは炎症性膣炎か子宮よりの出血であり、子宮頸がん、子宮体部がん、子宮頸管ポリープの場合があり検査が必要です。老年期には膣壁粘膜が萎縮して膣内の自浄作用が衰えていて外陰部皮膚が薄くなり、下着や自転車のサドルでこすれて痛痒くなります。寝たきり状態が続くと膣内のおりものがたまり、外陰部がただれてきます。女性にとって婦人科受診は抵抗があり、検査がおくれて取り返しのつかないことがありますので、「一時の恥が一生の悔い」とならないように努めるべきでしよう。

      

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