兵庫県保険医協会

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2017年6月

【水曜】高血圧治療の新しい考え方

 血圧とは心臓から送り出される血液が血管の壁を押す圧力のことです。この圧力の高い状態が「高血圧」です。血圧の高い状態を放っておくと血管の壁は次第に硬く厚くなっていき「動脈硬化」をきたします。動脈硬化が進むと、脳卒中、心筋梗塞をはじめ心不全、大動脈瘤、大動脈解離、慢性腎臓病等の重篤な疾患を招き、さらには認知症の原因にもなります。
 2014年4月、新しい高血圧治療ガイドラインが発表されました。診察室で測った血圧で上が140以上、または下が90以上であれば高血圧と診断します。家庭で測った家庭血圧の場合は診察室の血圧から5を引いて、上が135以上、または下が85以上であれば高血圧です。日本人間ドッグ学会が発表しメディアから報道され一時期話題になった「上が147、下が97までは正常」との見解は間違いですのでご注意ください。
 今回の高血圧治療ガイドラインでは診察室血圧よりむしろ家庭血圧の重要性が強調されています。一般に日中は血圧が高く睡眠中は低下します。しかし、睡眠中に十分に血圧が下がらない「夜間高血圧」の人は、突然死の危険性が高いことが報告されています。一方、早朝に急激に血圧の上がる「早朝高血圧」の人や、家庭では高い血圧でありながら診察室では正常となる「仮面高血圧」の人は、脳卒中や心筋梗塞を起こしやすいといわれています。このように高血圧の診断や治療に際しては、診察室血圧だけでなく、朝の起床時、夜の就寝前などに家庭血圧を評価することが重要です。
 新しい高血圧治療ガイドラインでは24時間にわたる血圧管理の重要性が強調され、血圧治療の目標は診察室血圧の場合、若年・中年者は「上が140、下が90未満」、高齢者の方は「上が150、下が90未満」。脳卒中や心筋梗塞の患者さんは「上が140、下が90未満」です。心血管病のリスクの高い糖尿病や腎臓病のある人ではさらに低く「上が130、下が80未満」という厳しい基準を目標にして治療することになりました。家庭血圧の場合はそれぞれ5を引いた値が治療の目標値になります。
 高血圧はこれといった自覚症状がないため放置されがちです。高血圧の成因に塩分摂取を中心とした生活習慣だけでなく遺伝的な体質が大いに関与しているため、ご両親や血縁の方に高血圧のある方は早め早めにかかりつけ医を受診し、積極的かつ十分な治療で、重い病気になるのを防ぎましょう。

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