兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2018年2月

【水曜】妊娠と痔

 妊娠中に痔核で苦しむ女性は少なくありません。いぼ痔、切れ痔、痔が飛び出して戻らない。色々な訴えで肛門科へ受診されます。ところが妊娠中の痔には、ほとんど使用できる薬はありません。特に妊娠初期、妊娠2か月以内に使用できる薬はごく少数です。ステロイドの入った座薬はすべて使用できません。脱出する痔を治す画期的な注射薬、アルタは妊娠、授乳中は使用禁忌です。痛み止めのアセトアミノフェンの短期間使用(1週間程度)は許可されていますが、この薬の使用も厳しく制限されているために、唯一自宅でお風呂に入ってお尻を温めるぐらいです。また硬い便が出ないように便を柔らかくする緩下剤、酸化マグネシウムの内服は許可されています。
 妊娠後半になると胎児の成長と下降に伴って、母体の骨盤の静脈叢が圧迫され痔静脈がふくれてきます。このため母体の肛門部がうっ血し痔が増々腫れてきます。妊娠末期にはさらにひどくなり痛みが強くなります。また便秘が悪化する妊婦さんも多いです。お腹も大きくなり、肛門も痛くなり、お母さんは本当に大変です。特に妊娠の痔で問題になるのが、いぼ痔が脱出したまま戻らなくなる「陥頓痔核(かんとんじかく)」と言われるもので、たいへん痛くお母さんを苦しめます。肛門科へ受診する妊婦さんの大半はこのような症状の方です。妊娠初期にはステロイドの入った座薬の使用は禁止されていますが、妊娠末期には使用しても問題はありません。ただし痛み止めの座薬は胎児への心臓疾患の発生の危険性があるため使用してはいけません。
 このように妊娠による肛門への影響は様々な症状でお母さんを苦しめます。妊娠する前に肛門疾患を持つ方は、一度肛門科を受診することをお勧めします。もしくは出産が終わり、お子さんの手が少し離れた頃に診察を受け、必要な治療を済ませて快適な排便生活を送って下さい。二回目の妊娠のためにも、余裕ができた時に肛門科医へ相談してください。適切なアドバイスを受け、生まれてくる我が子のためにも、お母さん、がんばってください。
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