兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2018年8月

【水曜】まさか私が糖尿病!?

 日本には予備軍を含めると2000万人を超える糖尿病患者さんがいると推定されています。全国民の5人にひとり、50代では4人に1人、60代では3人に1人と言われ、もはや国民病というべきでしょう。しかしこの中には検査を受けていないために、ご自分が糖尿病であると気づかず治療を受けていない方も数多くいます。

 糖尿病の診断基準についてご説明します。

 血液中の赤血球が、過去1~2カ月の間にブドウ糖と結合した割合を測る検査をHbA1cと呼びます。HbA1cが6.1%以上であれば糖尿病の疑いは強まります。これに加えて、空腹時の血糖126mg/dl、あるいは食後の血糖200mg/dl以上が確認されれば糖尿病の診断が確定します。HbA1cや血糖は特定健診の血液検査にも含まれています。もし血糖やHbA1cの異常を健診や人間ドックで指摘されたら決して放置してはいけません。検査値の軽度の異常は重大な問題と考えにくいかもしれません。しかし無自覚のまま高血糖が長期間にわたって続くと、様々な合併症を招きます。

 糖尿病の合併症としてよく知られているのは、目の網膜の障害、腎臓の障害、神経の障害です。いずれも高血糖のために細い血管の流れが悪くなって起きる症状で、糖尿病を10年近くわずらった後に出現するものです。糖尿病を治療しないまま放置すると、将来視力を失ったり、人工透析を受けなければならないかもしれません。糖尿病に伴う動脈硬化症から、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすケースもよく見られます。動脈硬化症は糖尿病予備軍の段階から進むことがわかっており、糖尿病と診断されたときには既に危険なレベルまで進行していることも珍しくありません。さらに最近は、糖尿病が癌や認知症の発症を促進する可能性も示されています。

 糖尿病は、初期の段階では自覚症状が表に出てこない病気です。むしろ症状がないために放置されている状況が恐ろしいのです。合併症がはっきりしてから治療を始めたものの回復が困難となり、もう少し早く糖尿病に気づいておけばと後悔するケースは珍しくありません。「自分もそうかもしれない」という意識を持って、積極的に健診を受ける、あるいは医療機関で検査して、早期発見・早期治療をするようおすすめします。

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