兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2018年8月

【火曜】診療報酬改定で何が変わったか

 診療報酬とは、全国の医療機関で受けられる医療の公定価格で、医療行為ごとに保険点数1点10円で設定されています。単なる医師・歯科医師の収入と誤解されがちですが、実際には、医療機関で働く看護師・薬剤師・検査技師など医療スタッフの専門的な技術料をはじめ、お薬・医療設備・検査などの費用が大半を占めます。保険診療の対象となる医療が広がり、点数が適切に引き上げられれば、国民が公的保険で受けられる医療の質と量が増えることになります。

 社会保障費の伸びに対して1300億円の予算圧縮が行われ、今年4月の診療報酬改定率は全体でマイナス1.19%となりました。その主な特徴を3点お話します。

 第1は、「かかりつけ医機能」を持つ医療機関への評価です。24時間対応している医療機関などを「かかりつけ医機能」を持つ医療機関とみなして評価する内容で、政府が一方的に定義づける「かかりつけ医」へ誘導するものとなっています。しかし、本来「かかりつけ医」というものは患者が自由に選択するものです。安定した医療機関経営による地域医療の充実のためにも、基準を設けることなく診療報酬の底上げを行うことが必要です。

 第2は、重症の患者さんを診療する医療機関だけを評価する内容となっていることです。まず、看護師を手厚く配置している病院の基準が厳しくなり、重症の患者さんをより多く受け入れなければならないとされ、軽度の患者さんを受け入れることが難しくなっています。在宅医療を担う医療機関についても、重症の患者さん以外への在宅医療については診療報酬が引き下げられています。入院医療や在宅医療を必要とするすべての患者さんが、安心して必要な医療を受けられるか、心配されます。

 第3は、不安・不眠に対するお薬の処方が制限されたことです。医師が患者さんの状態を診て必要と判断しても、一定の期間を超えてお薬を出すことができなくなるおそれがあります。

 兵庫県保険医協会では、いつでも、どこでも、誰でも必要な医療を安心して受けられるように、診療報酬の適切な引き上げや患者さんの窓口負担軽減など、医療改善のための取り組みを患者さんと共に進めています。医療機関窓口での署名などに、ぜひご協力ください。

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