兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

健康情報テレホンサービス

2018年11月

【金土日】妊娠と飲み薬の影響

 妊娠中は薬の服用に対して敏感になりますね。薬を飲んだ不安から、妊娠継続をあきらめてしまうケースもあります。妊娠中の飲み薬が胎児に及ぼす影響について、まず理解しておいてほしいことは、飲み薬とは無関係に起こる自然に奇形が発生する確率は3%といわれていることです。
 妊婦または妊娠を希望する慢性疾患の患者さんに、飲み薬の危険性を説明する場合にも、自然奇形の発生率について、十分に理解していただく必要があります。
 妊娠と薬について、「妊娠時期」「慢性疾患のコントロール」「飲み薬自体の特徴」に分けてお話します。
 第1に、妊娠時期については、最終月経が始まった日から数えて妊娠3週までは奇形が発生する可能性はゼロです。胎児の各器官は妊娠4週から8週までに完成されますので、その時期に一番気をつける必要があります。妊娠4週以降は、危険度には違いがありますが、必ず医師の指示のもとで適切な薬を飲んで、母体の健康を保つことが大切です。1度や2度、薬を飲んだことで必要以上に心配しすぎるケースがありますが、薬を飲む時期や薬の種類、自然奇形の発生率等も考慮にいれて、医師と十分話し合うことが大切です。
 第2に、高血圧や高脂血症、膠原病などの慢性疾患で薬を飲んでおられる方は、妊娠を考えたら医師と十分相談して妊娠の計画を立てることが大切です。もし、薬を飲んでいて妊娠に気が付いたら、すぐに主治医と相談してください。十分相談し納得した上で適切に薬を飲んで、母体の全身状態が悪化することのないよう対処していく必要があります。
 第3に、飲み薬自体の特徴によっても、胎児への影響が異なってきます。
 妊娠中に絶対に飲んではいけない薬として、抗がん剤やアレルギーを抑える薬の一部があり、妊娠末期には解熱鎮痛剤の使用も危険です。
 いずれにしても、不用意に市販薬(OTC薬)等を使用することなく、過剰な心配から妊娠継続をあきらめることがないよう、また妊娠後の飲み薬は、必ず医師に納得のいく説明を受けてから安心して服用して、何よりも母体の全身状態を良好に保つことが大切です。

2022年 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2006年 2005年
※健康情報テレホンサービス内検索です。