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健康情報テレホンサービス

2019年1月

【金土日】便秘症と、その治療薬について

 慢性便秘症、いわゆる「便秘」とは、「排便回数減少型タイプ」と、「排便困難型タイプ」の2種類に分けられます。

 便秘は薬を使用する前にまず、生活、運動、飲酒、睡眠等の生活習慣の改善に努めることが大切です。具体的には、排便習慣の見直し、毎朝決まった時間にトイレに行く、適度な運動をする、起床後すぐに冷たい水分をとる、食物繊維、ヨーグルトや、水分を積極的に取る等をしてみてください。それでも改善しなければ、消化器内科を受診して、適切な薬を処方してもらいましょう。

 便秘の薬の種類と特徴を、おすすめの順にお話します。

 1番おすすめされるのは「浸透圧性下剤、及び、上皮機能変容薬」です。

 浸透圧性下剤とは、腸管内で吸収されにくいために、腸内にとどまり、水分を吸収して便を軟らかくする薬です。作用が緩やかで習慣性が少ないため長期に処方することも多い薬です。血清マグネシウム測定をして、高マグネシウム血症を予防することが必要です。

 上皮機能変容薬とは、聞きなれない名前ですが、小腸で腸液の分泌を促進させることで排便を促す、新しいタイプの治療薬です。薬が効きにくくなることが少なく、腎機能の悪い方でも使える等メリットの多い薬ですが、妊婦は使えない等、注意する点もあります。

 2番目におすすめされるのは、「刺激性下剤、漢方薬、プロバイオティクス、膨張性下剤などの飲み薬や、浣腸や、坐薬といった薬」です。

 刺激性下剤は、大腸粘膜を刺激することで、排便を促します。比較的作用が強く、薬がききにくくなったり、習慣性になったりします。長期に続けて使用せず、必要な時だけ、利用することが大切です。センナ等に代表され、使用頻度も多い薬です。

 漢方薬も、試してみると良いでしょう。作用が緩やかで、習慣性が低い上、腹痛や腹部膨満感等便秘の症状にも対応できる等の、メリットがあります。

 便秘は、0歳児から、高齢者にいたるまでのあらゆる年代に見られます。50歳からの突然の便秘は大腸がんの鑑別も必要です。パーキンソン症の初期症状としても要注意です。自己判断で、漫然と強い下剤を長い間使用することなく、医師の指示のもとで、症状にあった適切な薬を処方してもらって下さい。そして、快適な、日常生活を過ごしましょう。

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