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健康情報テレホンサービス

2019年2月

【月曜】糖尿病による目の病気(網膜症)のはなし

 糖尿病は全身の血管の病気と言っても過言ではありません。眼に対しても目を通る血管が傷害されます。眼をカメラに例えるとフィルムに当たる網膜と、レンズに当たる硝子体と、ゼリー状の水晶体があります。その網膜の細い血管が障害され、自覚症状がないままに進行し糖尿病の患者さんの網膜に水が溜まったり出血が起こり、失明に至ることがあるのが「糖尿病網膜症」です。自己判断で目が見えているから大丈夫という判断は禁物です。糖尿病に罹患してからの日数が長いとか血糖値が不安定とか低血糖を繰り返す方は特に眼科を定期受診することが重要です。

 網膜症の進み具合と治療についてお話します。

 まず、血管がふさがって起こる早期の網膜症を「単純網膜症」と呼んでいます。眼底に小さな出血が見られ自覚症状はないことが一般的です。例外は、網膜中心部の黄斑に水が溜まる「黄斑浮腫」といわれる病態で急速に視力低下が起こります。

 治療は以前はレーザー治療が中心でしたが、最近は網膜症を炎症と捉え抗VEGF抗体という薬を直接硝子体の中に注入します。効果は良いのですがいつまで注射するかということが不明で、医療費が高くなる傾向にあります。

 さらに進行すると、前増殖網膜症に至ります。血液の流れが悪くなって、検査をすると眼の中に軟性白斑という白いもやもやが多発しています。この時期も治療として抗VEGF抗体製剤を硝子体に注射を行うことが増えています。以前と同様にレーザー光線を網膜に当てることもあります。

 さらに重症になる状態は増殖網膜症です。破れやすい血管(新生血管)が硝子体に向かって増殖します。突然硝子体の中で出血すると浮遊物が見える(飛蚊症)、あるいは出血が多量であれば突然見えなくなることもあります。この場合は硝子体切除術を行い硝子体内の出血と硝子体を取る手術を行います。同時に水晶体をとる手術やレーザーを当てることも一般的です。

 糖尿病は内科が診る病気ですが増殖網膜症まで至るとまったく別の病気として進行します。時期には糖尿病性腎症も進行し人工透析に至ることもあります。糖尿病の合併症は非常に怖い病態です。気がついたら遅かったとならないことが重要です。

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