兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2019年10月

【木曜】もっと補聴器を使おう

中年以降になると、考え事をしている時でもないのに、例えば「佐藤さん」が「加藤さん」に聞こえたりする聞き間違いが多くなってきたな、と自覚される人もおられると思います。相手との会話であれば聞き直しできればそれで解決するのですが、講演や放送などでは一旦聞き漏らせばそれまでになってしまいがちで、あまりよくわからなかった、で終わってしまうかもしれません。

ヒトの音声は空気振動の形で、振動の多さが音声の高さを、振動の強さが音声の大きさを決め、さらに音色という特性も生じるので人の声に個性が与えられます。そして音声は耳の穴から鼓膜に届き、そのエネルギーがカタツムリのような形をした器官の中で電気信号に変換されて、その後神経を通して脳へ伝えられ音声が認識されます。年をとると有毛細胞と言われる細胞が減少してこの過程が充分にできなくなってしまい、冒頭のような聞き間違いが生じるのです。多くの場合、高い周波数の音をとらえる有毛細胞が減少しています。

補聴器は耳の穴にはいる音声や外界音を周波数により選別してどの周波数の音を増幅するかを決めて鼓膜に伝える装置です。外界音で音声の聞き取りに邪魔になるものを自動的にカットする機能やどの方向からその音声が発せられているのか認識させる機能を持たせている製品が大部分になりIT技術の進歩の賜物と言えます。また、形も耳たぶの後ろに引っ掛ける耳掛け型と呼ばれるものと耳の穴にはまってしまうカナル型と呼ばれるものが好んで使用され外見は目立たなくなっています。言うまでもなく有毛細胞の減少が少ない段階の方が耳に合わせやすく、使用感もよいので早めに踏み切られるのが理想的ですが、現実には補聴器の価格が高いので積極的に購入される方が少ないのです。

兵庫県ではすでに学童期で軽度・中度ながら難聴と判明した人へ、10万円を上限に補聴器購入費用を県・市が負担する制度があります。中高年以降の世代にもこのような制度の拡充が望まれていると耳鼻咽喉科医師の多くは考えています。

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