兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2020年4月

【火曜】子どもの自閉症

数十年前まで自閉症の原因は母親の育て方のせいだといわれた時代がありました。そして脳科学の急速な進歩に伴い、こどもの脳に言語認知障碍がある、という考え方が主流を占めるようになり、今度は自閉症問題で保護者側の要因を取り上げることはタブー視されてきました。

自閉症で大切なのは、対人関係障碍、コミュニケーション障碍等を解明することにあります。

自閉症児は、程度の差はあれ、『自分という存在』があいまいで、『他人という存在』は、もっと意識しにくいようです。いわゆる心通じるコミュニケーションが起こりにくいのです。視線が合いにくい、言葉が遅い、人よりもものに関心を持つ、感覚過敏などが、自閉症の特徴とされますが、夜真っ暗な暗闇の中をひとりで歩いている状態を想像してみると、何となくこういった自閉症児の緊張・警戒・怒りモードが理解できるかもしれません。暗闇の中で、視線を合わす必要はありませんし、緊張しているので言葉は出てきません。また、人と物の区別はつきませんし、ちょっとした刺激にも驚いてしまうでしょう。

また常同行動と呼ばれるものがあります。ビデオの同じ場面を何回も繰り返し見る、細かいストーリーまで一言一句間違わずに覚える、同じおもちゃでしか遊ばないというような行動を指します。同じ行動をすることでしか安心が得られないのかもしれません。

また、保護者あるいは治療者のこどもへのかかわり方が、自閉症児の育ちに大きくかかわってくることもわかってきました。現在では、ペアレントトレーニングという、自閉症も含めて発達に困難をかかえたこどもの保護者向けのトレーニングプログラムも盛んにおこなわれるようになっています。

またNHKなどでも紹介されましたが、1歳前からはじめる超早期療育プログラムが自閉症児の療育にはとても有効であることもわかってきました。このようなプログラムを通して、こどもとその保護者や周囲の人と少しでも心通じるコミュニケーションができるようになることを願います。

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