兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2020年10月

【月曜】 網膜剥離

 網膜は目の奥にありカメラのフィルムのような役割を果たします。網膜剥離とは、10層ある網膜の一番外の層から内側の神経網膜が剥がれる病気です。

 網膜剥離は、①網膜に穴が開くタイプ(裂孔(れっこう)原性(げんせい)網膜剥離)、②穴が見つからないタイプ(牽引性網膜剥離)、③水が溜まるタイプ(滲出性網膜剥離)などに分類されます。網膜剥離と言えば網膜に穴が開くタイプ(裂孔(れっこう)原性(げんせい)網膜剥離)が多いのですが、糖尿病による網膜の病気から穴が見つからないタイプの網膜剥離(牽引性網膜剥離)となる場合や、目のブドウ膜と呼ばれる部分の炎症や腫瘍によって水が溜まるタイプの網膜剥離(滲出性網膜剥離)となる場合もあります。

 穴が開くタイプの網膜剥離(裂孔(れっこう)原性(げんせい)網膜剥離)は、眼球の打撲を引き金とする20歳代と、「後部硝子体剥離」を引き金とする50歳代に多い病気です。「後部硝子体剥離」とは、年齢とともに眼球内の8割を占める硝子体という部分が液状化し、縮んで網膜から剥がれる現象です。

 初期の症状として、目の前に虫や糸くずのようなものが見える「飛蚊症」と、光ったものが見える「光視症」があります。進行すると視野が欠け、さらに物を見る中心の「黄斑(おうはん)」というところまで剥離が進行すると、物が歪んで見える「変視症」や視力低下などが起こります。黄斑まで剥離が及ぶ前に治療を行うことがとても大切です。

 検査は、網膜をよく観察するために黒目を大きく広げる薬を使って眼底検査を行います。この検査の後はまぶしい状態が6時間から8時間続くので、しばらくは車の運転はできません。

 治療は、網膜に穴だけ開いている初期の場合は、レーザー光線で穴の周囲を剥がれないように二重三重に固めて剥離が進まないようにする治療を行います。さらに進行して、液状化した硝子体が穴から網膜の裂け目に入り網膜剥離になると、手術のみが唯一の治療法です。

 手術には、「(きょう)膜内陥術(まくないかんじゅつ)」という眼球表面の膜の外にパックルというシリコンスポンジを縫い付けることで眼球を内側にへこませて穴を塞ぐ手術があります。また、「硝子体手術」という手術も増えています。硝子体そのものを切除した後に、空気よりも軽い特殊なガスを眼球に注入して内側から網膜を持ちあげます。そのため、しばらくうつ伏せの体位をとらなくてはなりません。うつ伏せの姿勢が取れないときにはガスに代わりシリコンオイルを注入することもあります。

 飛蚊症や光視症などの症状が現れた場合は、早めに眼科を受診しましょう。

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