兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2020年12月

【水曜】 慢性硬膜下血腫

 「慢性硬膜下血腫」は脳の表面部分に血が溜まってくる病気で、溜まった血が脳を圧迫して様々な病状を引き起こします。

 この病気は、ご本人も忘れてしまう程の軽い頭部外傷、それも多くの方は受傷してから1~2ヶ月後に、頭痛や手足のしびれ、運動麻痺、精神症状や認知障害などとして出てきます。慢性硬膜下血腫を発症する頻度は、近年の高齢化に伴い急速に増加し、年間3万件を超えると言われています。人口10万人の都市で年間30件、100万人の都市だと年間300件となり、かなり多い病気と言えます。

 一般的に診断は頭部CT検査で行います。片側だけの場合も両側にできる場合もあります。軽い場合には点滴や漢方薬で経過を見ることもありますが、溜まった血がある程度の大きさになると速やかに外科的手術を行うことが一般的です。

 標準的な手術法は局所麻酔をして頭蓋骨に1~2箇所の穴を開け、溜まった血を吸引した後に生理食塩水で十分な洗浄を行うという手術で、1時間程度で終了します。再出血を起こす確率が10%程度あるものの、手術によって生命を維持できる可能性は極めて高く、症状の改善を最もよく自覚できる手術の1つと言えます。手術が終了すると、片麻痺が全くなくなっていたりすることもあります。

 軽い頭部外傷後、1~2ヵ月経ってから頭痛が出た場合や、手足の麻痺があらわれた場合、精神症状、特に認知症が急に進行する場合は、神経内科や脳神経外科を受診することをおすすめします。特に高齢のご家族がおられる方、またはその介護にあたられる方は、高齢のご家族が転倒または軽い頭部外傷があった際に、カレンダーにメモをして記憶にとどめるなどの配慮があると良いと思います。

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