兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

健康情報テレホンサービス

2021年5月

【金土日】脱毛症について

 人の毛は普通10万本から15万本程あるといわれており、毛周期という自然の脱毛と発毛を繰り返して毛の密度を一定に保っています。時期により抜け毛が気になる事がありますが、実際に抜けている数は1日に100本以内のことが多く、新たに毛が生えてくるので髪の毛の本数はほとんど変わっていません。しかし目に見えて髪の毛の数が減ってくる場合は、毛周期に異常が起こり、毛が減る脱毛症となり問題です。脱毛症の中でも円形脱毛症、男性型脱毛症は日常よく目にしますが、見た目の印象を大きく変えることがあり、患者さんの悩みも深いようです。
 円形脱毛症は、自分の毛を他人のものとして拒絶してしまう自己免疫疾患の一つといわれています。遺伝的要因を背景として疲労や感染、ストレスを引き金として突然円形に頭皮に脱毛がみられます。多くの症状は1個から数個の脱毛が起こりますが、中には進行して頭皮全体が脱毛する全頭脱毛や、頭髪のみならず眉毛や体毛も抜ける汎発性脱毛になる事もあります。
 患者さんの中にはアトピー性疾患や甲状腺疾患などの病気を持つ場合、尋常性白斑を合併する場合もあります。
 治療は、発毛促進作用、抗ヒスタミン作用を持つ飲み薬を飲んだり、ステロイドや血管拡張効果を持つ塗り薬を使用したりします。部分的にステロイド局所注射、冷却療法、薬液を塗る局所免疫療法や、紫外線療法を症状により追加することもあります。また、急激に頭部の半分以上に進行する6か月以内の脱毛の場合は、ステロイド内服や点滴での大量療法も有効です。ただし、保険がきかない治療もありますので、詳しくは医師にご相談ください。
 次に男性型脱毛症(AGA)です。これは思春期を過ぎた男性の生え際や頭頂部の脱毛が特徴的です。この脱毛症は、毛周期のうちの成長期が短くなり、太い毛がつくられないことにより起こります。この現象にはアンドロゲンというホルモンが大きく関わっているといわれています。治療として、塗り薬や飲み薬があります。
 また、最近では女性で頭頂部の広範囲の頭髪が薄くなる女性型脱毛症に悩んでいる人も多く、塗り薬を使用する場合もあります。ただこの場合の薬は保険が効かず自費での診療となります。治療に悩む場合は診察の際に医師に相談されるといいでしょう。

2022年 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2006年 2005年
※健康情報テレホンサービス内検索です。