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2021年7月

【金土日】乳房外パジェット病とは

 パジェット病とは、大型の異常な細胞、いわゆる「パジェット細胞」が皮膚の一番外側で広がるように増える皮膚癌です。乳房外パジェット病は、股や脇などに主に出現します。我が国では、皮膚癌のなかで10%前後を占めているといわれ、発現率が欧米より高いのが特徴です。

 乳房外パジェット病は高齢者での発癌がほとんどです。男性のほうが女性より2倍ほど多く、またいわゆる外陰部でほとんどが発症します。男性では陰嚢、女性では大陰唇が好発部位です。カビや湿疹との区別が必要であり、まずは診察やカビの検査をして、それらが否定できれば皮膚の一部を切り取って診断します。

 皮膚の見た目は、少し白くなったり赤くなったりします。皮膚の表面にとどまっている場合は転移の可能性がほぼ無く、この段階で病気を発見することが重要です。しかし、発見が遅れると、盛り上がったり分泌物が出てきたり塊を形成したりします。一旦このように進行すると、深刻な状態となります。センチネルリンパ節生検といって、病変から一番目に流れるリンパ節に転移が無いかを調べる方法により、その後の症状が分かります。化学療法や放射線療法は効果が期待できるものはいまだ少ないのが実情です。末期では、おへそから下にパンツ型紅斑と称される皮膚症状が出現することもあります。

 治療は、癌細胞が皮膚表面内に留まっている早期では1cm程度離して手術で切り取ります。ですから、病気の範囲の特定が重要となります。手術で切り取った後は単純に縫い合わせるか、皮膚が足りないときは周囲の皮膚を移動する方法や、他の部位の皮膚を移植することもあります。

 股や脇に違和感や皮疹を認めるときは、皮膚科専門医を受診しましょう。

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