兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2021年8月

【月曜】 先天性色覚異常

 色覚とは網膜の機能で色を見分ける目の働きです。先天性つまり生まれつきの色覚異常はかつて色盲や色弱といわれましたが近年誤解を招くということから色覚異常という言葉が使われています。健常者と色の見え方が少し違う、色の鑑別がつきにくい状態です。視力とは関係なく症状は進行することはありません。遺伝病で男性では20人に1人、つまり小中学校のクラスに1人、女性は遺伝子としては多く持っていますが、色覚異常となることは少なく、500人に1人見られます。40歳以上で緑内障が20人に1人といわれますから、男子ではかなり多いといえます。

 特殊なメガネをかけるなどの治療法もありません。しかし診断は職業選択の上で大きな意味を持っています。医療系の職業には就けますが、色の取り違えは自己責任となります。電車の運転士や自衛官などには就けません。2001年労働安全衛生規則の改正で雇入れ時の色覚検査は廃止になっていますが、正常色覚であることや強度色覚異常不可などの制限が残っている職業があります。小学校では2003年から任意の検査となり必須項目からいったん削除になりました。しかし、就職時に様々な弊害が起きました。したがって2016年から小中学校で再開された任意の検査で色覚異常の有無を確認することは大きな意味があります。

 診断は石原式などの色覚検査表パネルD-15という似た色を順に並べる検査などが行われています。先天性色覚異常では、「混同色」つまり間違えやすい色の組み合わせとして、赤と緑、オレンジと黄緑、茶と緑、青と紫、ピンクと白・灰色、緑と灰色・黒、ピンクと水色の8つが知られています。黒板・看板・スライドでは間違えやすい色を避けることが大切となります。色のみで情報提供しない色覚バリアフリーの考えが推奨されています。言い換えると白黒でも判別できることが大切です。例えば緑の黒板では赤のチョークは大変見づらい組み合わせとなります。

 本人に自覚がない先天性色覚異常を発見する検査を受けることは進路の決定において大きな転機となることもあります。保護者の皆様には、お子さんに色覚検査を積極的に受けさせることをお勧めいたします。

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