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健康情報テレホンサービス

2021年9月

【水曜】 細菌性心内膜炎

 心臓には左心室にある大動脈弁と僧帽弁、右心室にある三尖弁と肺動脈弁の4つの弁が存在します。細菌性心内膜炎というのは、それらの弁に細菌が感染し、徐々に弁が破壊されていく状態で重症になると死に至る病気です。欧米に比べて日本では、不潔操作で自己注射する麻薬中毒患者は少ないので、三尖弁に生じる細菌性心内膜炎はきわめて少ないです。今回は、頻度の高い大動脈弁や僧帽弁に生じる細菌性心内膜炎についてお話します。

 弁膜症とは弁に障害が起きるさまざまな病気です。そのなかで、細菌性心内膜炎を生じやすい疾患としては、僧帽弁逸脱症による僧帽弁閉鎖不全症と、先天性大動脈二尖弁という状態による大動脈弁閉鎖不全があげられます。逆流の程度が大きいほど細菌性心内膜炎のリスクが高いのではなく、むしろ逆で、少量の逆流血液の存在が問題になります。それゆえ、弁膜症が重症で薬物治療をされている患者さんはこの疾患になりにくく、症状がなく検診などで心雑音を指摘されている人がかかりやすいという理解が必要です。加えて、大動脈弁や僧帽弁を人工弁に置き換えた患者さんでは、逆流の存在がなくても人工物が心臓に存在しているため細菌性心内膜炎のリスクになります。

 細菌性心内膜炎は、体内に一時的に細菌が入ることで病気になります。抜歯を含む口腔内処置では、口腔内の常にいる細菌が一時的に血中に入りますし、繰り返し行う点滴、膀胱鏡などの検査、ピアスをあける操作、中絶手術で血液中に一時的に菌がいっぱいになりえます。体に菌が入るこのような状況では、施行前後2~3日間は抗生物質の飲み薬の予防投与がすすめられます。もちろん、細菌性心内膜炎の誘因が不明のこともあります。

 原因である病原菌の多くは弱毒菌なので、症状は弁が破壊されるまではあまりありません。数ヶ月を経て、弁が破壊されると急に心不全になったりします(もちろん強毒の菌であれば、初期から高熱をはじめ強い全身症状が出現します)。

 細菌性心内膜炎になると、様々の症状を呈するため様々な診療科を受診することになり、弁が破壊され心不全になるまで不適切な治療を受けることがあります。細菌性心内膜炎の生じる可能性のある疾患を有する人であれば、微熱も含めいつもと異なる症状が1週間以上続けば、循環器内科でまず細菌性心内膜炎の否定が必要になります。

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