兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2021年9月

【火曜】 不妊症と漢方

 このテレフォンサービスをお聴きになられている方の中には人工授精、体外受精や顕微授精を何度か繰り返された方がおられると思います。

 人間の身体は実に正直で、変調を来たして子宮や卵巣が正常に機能しない時にホルモン剤を服用しても、高度生殖療法を行っても、身体は応えにくいものです。このような場合には、先に身体の変調を元に戻し、妊娠し易い母体を作ることに視点を変えることが早道になることがあります。漢方薬はその手助けを行うもので、直接子宮や卵巣に働きかけて妊娠に結びつけるものではありません。また、服用して直ぐに効果が現れるものではありません。早くても3ヶ月、長い場合は数年に至る場合もありますから、自分自身の身体を信じて気長に服用を続ける必要があります。

 漢方薬は患者さん一人一人の状態を表すいわゆる(しょう)、に対して、オーダーメイドで処方されるお薬です。特に煎じ薬は生薬の分量を加減して処方され、(しょう)が合えば「苦くて飲みにくい」と思っていた漢方薬が「美味しい」と感じることが多いものです。その(しょう)を確定させるために、問診を行い、西洋医学と異なる観点から、舌や脈の状態を診たり、お腹の状態を直接手で触れて冷えや突っ張りの有無などを診たりします。お腹が冷えて突っ張っていたり、硬かったり、または、ガスが詰まって張っていたりすると、赤ちゃんには留まりたくない環境になっています。漢方薬を服用して、最終的には子供のお腹のように、まるでつき立てのお餅のような温かくふわふわと柔らかいお腹に戻すことが理想です。

 さて、不妊の原因は「お腹の冷えや突っ張り、硬さ」以外にも様々なものがあります。どのような漢方を服用したら良いかは患者さん自身で判断出来るものではありません。漢方専門医に委ねてください。そして、かかりつけ婦人科医と連携治療が必要です。特に、初診の場合には漢方専門医を受診される前に、卵管に詰まった卵子がないか、精管に精子が通過出来る状態であるかどうかを婦人科で検査されることをお勧めします。場合によっては外科的処置や体外受精が必要となるからです。

 最後になりましたが、漢方治療が一人でも多くの方に赤ちゃんが授かるきっかけになることを願っています。

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