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2022年2月

【金土日】脂漏性皮膚炎

 脂漏性皮膚炎は、人の脂漏部位に生じる湿疹、皮膚炎です。脂漏部位とは、頭、顔、特に額や鼻の周りなどのいわゆるTゾーンや首、耳の後ろ、胸、背中の中心部、脇の下、お臍の周りなどを指します。皮膚を潤す脂、すなわち皮脂は、皮脂腺というところから出て、また皮脂腺は毛孔に開いているので、毛が生えていない手の平や足の裏などには皮脂は存在せず、従って手の平や足の裏にはこの病気は現れません。脂漏性皮膚炎の好発年齢は、①6ヶ月までの乳児 ②思春期から青・壮年期に至るまでの期間です。①の乳児期の症状は、頭や顔の皮膚が紅くなり、ひどくなると黄色がかったかさぶたができてきます。原因としては、主に母親からのホルモンの影響が考えられています。原則的には、何もしなくても良くなりますが、炎症が酷いときには、ローションタイプのステロイドのつけ薬を、また皮脂の塊であるかさぶたが気になる時は、オリーブオイルなどで、丁寧に取り除きます。

 思春期以降の期間では①と同様の部位に加えて、他の脂漏部位にも症状が現われます。乳児と違って、皮膚に常に存在しているカビの一種であるマラセチアという菌が主な原因と考えられています。マラセチア菌は皮脂が好きな菌なので、脂漏部位に多く繁殖します。思春期では男性ホルモンが特に活発になり、皮脂が増えて、それが毛孔を詰まらせて、脂漏性皮膚炎よりもニキビが出てくることが多いのですが、脂漏性皮膚炎を合併することもあります。高齢になっても、同じように症状が出てくる人もあります。大人の脂漏性皮膚炎では、頭が痒くなり、フケが多く、頭皮も紅くなってきます。顔においては特に、鼻の周りが紅くなり、落屑と呼ばれる白い小さな粉が付いてきます。他の脂漏部位でも同様な症状が出てきます。この期間の脂漏性皮膚炎の治療には、ステロイド軟膏に加えて、あるいは単独で、マラセチアの治療薬である真菌を減らす薬が使われます。現在、マラセチアの殺菌効果のある成分を含んだシャンプーが市販されており、頭のフケの多い人に対しては、有効です。脂漏性皮膚炎と思っていても、違う病気や他の病気の合併症のこともありますので、是非医療機関を訪れて、きちんと診断を受けてください。

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