兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2023年1月

【火曜】 マイナ保険証について 

 みなさんは「マイナンバーカード」、いわゆる「マイナカード」をお持ちでしょうか。マイナンバーとは、国民一人ひとりに割り当てられた数字で、この数字が記載されたマイナカードは、行政の窓口や金融機関での本人確認に利用されています。また、健康保険証と紐づけて「マイナ保険証」として利用することもでき、健診記録や薬の服用歴などを記録することもできるようになっています。
 一方、カード紛失による個人情報漏洩や、政府に様々な個人情報を把握されてしまうことへの懸念などから、マイナカードの普及率は2022年10月時点で人口の半数にとどまっています。そこで政府は、現在の健康保険証を2024年秋をめどに廃止し、すべて「マイナ保険証」に切り替えると発表しました。保険証の廃止は、国民皆保険制度を採用する日本において、マイナカードの取得を事実上強制することになります。これはマイナカード取得を「任意」とする法令に反するのみならず、全国民がマイナカードを日常的に携帯するようになれば、プライバシーに関わる情報の漏洩やなりすまし被害の危険性が高まると言わざるを得ません。
 また、政府は医療機関に対しても、「マイナ保険証」で受診ができるシステムの導入を義務付けようとしており、厚労省はこのシステムに対応しない医療機関には、保険診療をさせないこともあり得ると明言しています。このようなことになれば、地域で適切な医療が受けられず、国民の「医療を受ける権利」が奪われてしまいます。
 兵庫県保険医協会が実施したアンケートでは、この制度の導入に7割の医療機関が反対しています。「マイナカードを使い慣れていない高齢者や認知症患者が受診しづらくなる」「情報漏洩が心配」「コロナで大変な時になぜ新たな負担を強いるのか」など多数の不安の声が寄せられています。
 政府は「医療のデジタル化」によって個人情報を活用したビジネスチャンスを広げることを狙っていますが、いま求められているのは、国民や医療機関に強引に「マイナ保険証」の利用を強制することではなく、すべての国民と医療機関が安心して医療を受け、提供できる体制づくりではないでしょうか。

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