兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2023年3月

【水曜】 肝硬変

 肝硬変と聞くと大酒(おおざけ)のみの男性を思い浮かべる方が多いかも知れません。しかし、アルコールが原因の場合は20%くらいです。原因として最も多いのはC型肝炎ウイルス感染によるもので、約50%と全体の半分を占めます。そのほかB型肝炎ウイルス感染、脂肪肝などがあります。約7割が男性といわれています。つまり男性だけでなく女性も肝硬変になるのです。
 原因が何であっても長期にわたって肝臓に炎症が続くと肝硬変になります。肝臓の細胞の破壊が繰り返され、その結果肝臓の表面がゴツゴツと硬くなります。この状態が肝硬変です。患者数は全国で約50万人いると推定されています。
 肝硬変になっても初めのうちは症状はありません。進行すると皮膚が黄色く染まる黄疸やお腹に水がたまってお腹がふくれます。そして食道静脈瘤という食道にある静脈が腫れて出血するとロから血液を吐くこともあります。さらに進行すると血液中のアンモニアが肝臓で十分に分解されなくなって脳の症状が出ます。肝臓癌の発生にも注意しなければなりません。それぞれに対する治療法は年々進歩してきましたが、大切なのは肝硬変にならないことと、もしなっても進行させないことです。
 はじめに述べたように肝硬変の原因として、その半分を占めるC型肝炎は治療法の大きな進歩によって飲み薬で治る病気になりました。そして治療費の一部を助成する制度が整えられています。B型肝炎はまだウイルスを肝臓から完全に排除することはできませんが、適切に治療すれば肝硬変への進行を防げる時代となっています。そのためここ数年で肝硬変の原因はB型、C型肝炎ウイルスによるものから、脂肪肝、アルコール性に急速に移行しています。
 肝臓は沈黙の臓器と言われており、たとえ肝硬変になったとしても初期には自覚症状がほとんどありません。しかし進行して一旦症状が出てからでは身体的にも経済的にも大変な負担になります。健康診断などで肝臓の数値の異常を指摘された場合は、症状がないからと言って放置しないで早期にかかりつけ医に受診して相談することをお勧めします。

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