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健康情報テレホンサービス

2023年6月

【金土日】ナルコレプシー

 ナルコレプシーは昼間の大事な時でも居眠りをする病気です。毎日規則正しく、しかも夜には7~8時間の年齢相応の適切な睡眠時間を確保していても、「耐え難い昼間の眠気が繰り返され、喜怒哀楽の変化によって筋肉の脱力発作」を生じてしまいます。

 10歳から25歳頃に、耐え難い昼間の眠気で発症し、授業中や試験の最中にも寝てしまいます。しばらく経過すると、笑った時などに筋肉の力が抜け、手に持っている物を落としたり、腰砕けのような脱力発作を伴うこともあります。また、入眠時の金縛りや、寝付いた時の怖い夢を経験することもあります。

 原因は、覚醒を維持するために必要な「オレキシン」といわれる物質を産生する脳内の細胞が壊れてしまうためです。細胞破壊の原因には、頭部外傷、睡眠不足、ウイルス感染症などが挙げられています。

 診断には、日本睡眠学会認定の睡眠医療専門施設で行われる2種類の検査が必要です。一つは、睡眠に異常がないことを確認するための「終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査」、もう一つは、寝付くまでの時間と、レム睡眠と言われる夢見睡眠の出現を、2時間おきに4~5回の仮眠を繰り返して測定するための「反復睡眠潜時検査(MSLT)」です。これらの検査は入院が必要で、一晩から翌日夕方頃までかかります。他には、脳脊髄液のオレキシン濃度の測定や、白血球の血液型判定もありますが、現状では健康保険適用ではありません。

 治療は、規則正しい睡眠習慣を身につける指導である睡眠衛生指導と、眠気を抑える薬で中枢神経を刺激したり、脱力発作を抑える飲み薬の治療で対応します。

 発症時期が中学、高校および大学入試などの節目の時期であり、容易に睡眠不足になったり、睡眠リズムが乱れやすい時期に重なります。このため、昼間の眠気が病気なのか、病気ではないのか区別がつきにくいことが多く、診断には専門的検査が必要です。もし、ナルコレプシーならば飲み薬の治療を受けないと、昼間に頻繁に眠ってしまい、勉強や社会生活などで自分の実力が発揮できません。

 昼間の強い眠気には、治療可能な病気が多く含まれていますので、かかりつけ医や睡眠専門医へ相談してください。

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