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健康情報テレホンサービス

2023年9月

【木曜】 脚のむくみ

 脚のむくみにはいろいろな原因があり、症状の現れ方や経過から、ある程度見分けることができます。

 両方の脚が同じように徐々にむくんできている場合には、全身に関する病気が考えられます。例えば貧血や心不全、慢性腎臓病、また酷い低栄養状態や、甲状腺ホルモンの分泌が低下して、代謝が徐々に落ちてもむくみやすくなります。

 皮膚がデコボコして左右差があったりする場合には、下肢静脈瘤のこともあります。表面の静脈では本来は血液が逆流せず心臓に戻れるように逆流防止弁が働いているはずですが、その弁が壊れて血液が心臓に戻りにくくなると脚が腫れてきます。

 また、見た目だけではわかりませんが脚の中心部に流れている深部静脈の逆流防止弁が壊れてしまう場合もあります。「深部静脈不全」と言って、下腿部の血管が鬱血した状態で腫れていることもあります。この場合は超音波検査しなければわかりません。

 どこにも異常が見当たらなくても、むくむこともあります。例えば、一日の大半を椅子に座ってほとんど脚を動かさないような生活を続けていると、朝にはむくんでいなくても、晩になると腫れてくることもあります。これは「廃用性浮腫」と呼ばれています。

 片脚がむくんでいる場合は、腫れている脚の一部に原因があることが多いです。がんでおなかの手術をした後の、放射線治療による後遺症としてリンパ液の流れが滞る「リンパ浮腫」という病気もあります。

 急に腫れてくる場合は、静脈の詰まりや炎症で起こることが多いです。先程の深部静脈という血管に、血栓という血の塊ができて血流のもどりが悪くなって起こる「深部静脈血栓症」という病気は、「エコノミークラス症候群」として皆さんも一度は聞いたことのある病名だと思います。酷くなると脚が腫れるだけではなく、急に咳き込んだり、息が苦しくなることもあり「肺梗塞症」と言われるような命にかかわる状態に陥ることもあります。

 血栓は、高熱が続いて食事が十分摂れなかったり、ひどい下痢が続き脱水状態になって起こったり、深爪や歯を抜くといった事がきっかけで雑菌が体内に入り込み、白血球が集まってできやすくなったりします。普段の生活では脚を清潔に保つこと、日ごろから自分の脚が腫れていないか時々チェックすることが大事です。

いずれにしても、いつもと違って脚が腫れてくるようであれば、できるだけ早くかかりつけ医に相談され専門医の受診をお勧めします。

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