兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2023年10月

【金土日】咳と呼吸苦~間質性肺炎~

 私たちは無意識のうちに呼吸をして、活動するうえで必要な酸素を取り入れ、不要な二酸化炭素を排出しています。呼吸をすることで、肺の奥にある「肺胞」と呼ばれる無数の小さな部屋に空気が運ばれます。この小さな部屋の壁には毛細血管があり、この毛細血管に空気中の酸素が取り込まれると同時に、老廃物である二酸化炭素が毛細血管から排出されます。これを「ガス交換」といいます。

 間質性肺炎とは何らかの原因で、「肺胞」の壁に炎症が生じ、壁が厚くなる病気です。壁が厚くなるとガス交換がスムーズにできず、体内に酸素が取り込みにくくなります。そのため咳が出たり、息苦しくなったりします。

 初期のうちは症状が乏しいのですが、進行するにつれて空咳や息切れが強くなります。息切れが強くなると、指の先が太鼓のばちのように太くなることがあります。

 間質性肺炎の原因には、関節リウマチなどの膠原病の合併症や、職業で吸い込む粉塵、生活で吸い込むカビや羽毛、薬の副作用、特殊な感染症などが知られています。また喫煙の関係も指摘されています。

 間質性肺炎のうち、原因を特定できないものを特発性間質性肺炎といいます。特発性間質性肺炎は細かく7つに分類され、それぞれ治療方針や治療効果、予後などが異なります。

 特発性間質性肺炎の多くは、胸部レントゲンやCT検査で発見されます。しかし、胸部の画像だけでは7つの分類のうちのどれに該当するのか診断が難しいことも多く、気管支鏡や胸腔鏡を使って肺の組織を一部とって調べる、肺生検という検査が必要となることもあります。

 病気が安定しており、進行が早くない場合は、咳止めなどの対症療法で経過を見ることもあります。病気が進行し、明らかに悪化しているときは、ステロイドや免疫抑制剤などで治療をします。呼吸困難が出現する場合は、酸素の吸入も必要となります。最も頻度が高い特発性肺線維症と呼ばれる間質性肺炎では、近年、抗線維化薬という新しい薬が保険適応となり、進行を遅らせる効果が期待できるようになりました。特発性間質性肺炎は、まだまだ病気の解明が待たれる難病の一つです。

 空咳が長く続いたり、息切れが増強する場合は、早めに呼吸器科を受診して、早期に診断することが大事です。

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