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2023年11月

【水曜】アキレス腱断裂

 アキレス腱断裂は、比較的中高年のスポーツ愛好者に発生しやすいスポーツ外傷です。バレーボールやバスケットボール、野球などの球技や、テニス、バドミントンなどのラケット競技でも発生することが多く、ジャンプの着地動作や踏み込みなどが引き金になることが多いとされています。加齢などで生じる腱の劣化や、ふくらはぎや足関節の柔軟性の低下が関係していることが多く、一般的なスポーツ外傷よりもやや高い年齢層で生じます。

 怪我をした時に「足首の後ろを蹴られた」や「ボールが当たった」などのような衝撃を感じることが多く、「破裂したような音がした」など断裂した音を自覚することもあります。怪我をした直後は転倒したり、しゃがみ込んだりしますが、しばらくすると歩くことができる場合も少なくありません。足首の腫れやアキレス腱周囲の内出血、つま先立ちができないなどが、アキレス腱断裂の代表的な症状です。

 診断は断裂した部分のへこみを確認し、ふくらはぎを握って足首が動くかどうかのチェックを行います。画像検査ではエコー検査やMRI検査が有用で、詳細な断裂部位の確認だけでなく、治療の経過観察にも用いられます。

 治療には手術を行う方法と手術をしない方法があります。

 手術治療は従来、アキレス腱断裂部を直接見えるように切開して縫合する手法が用いられてきました。最近では小さな切開で断裂した部分を寄せる方法も広がってきています。手術の後はギプスや装具を着用して、歩行や関節を動かすリハビリを行います。いずれの治療法も、スポーツの完全復帰は手術して約半年程度であり、長期での成績には大きな差がないと言われています。

 一方、手術を行わない方法ではギプスで固定した後に装具を使って、少しずつリハビリを行います。入院の必要がなく、手術に伴う合併症のリスクも少ないのが利点ですが、治療期間に時間を要するという欠点もあります。

 治療法は、患者さんの活動性や社会的な背景、本人の希望などを考慮して決定します。治療方法の選択は主治医と十分に相談するようにしましょう。

 

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