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健康情報テレホンサービス

2024年2月

【木曜】急性硬膜下血腫

 急性硬膜下血腫は、強い力が頭部に加わって起こります。脳を取り囲んでいる硬膜の下にある脳の表面が傷つき、出血を起こし血液が溜まる病気です。硬膜の上にある頭蓋骨の骨折がなくても起こります。出血する場所は脳の表面の小さな動脈が最も多く、次に多いのが静脈からの出血です。

 急性硬膜下血腫は、重症の頭部の外傷による血腫の60%近くにみられるという報告があります。年齢としては40歳以上の方に多くみられます。よく起こる場所は前頭、側頭、頭頂部ですが、その他の場所にも起こります。血腫の量が少なくても、広い範囲で脳が傷ついた場合は、脳が強く腫れて死亡率が高くなります。反対に大量の血腫があっても、脳の傷が軽い場合は回復の見込みが高くなります。

 急性硬膜下血腫は脳の傷を伴うことが多いため、複雑な症状が見られます。意識障害があることが多く、受傷直後より意識消失状態であることが多くみられます。しかし、直後は意識障害が見られない場合もあるため注意が必要です。直後に意識の障害がない例は、頭蓋骨と硬膜の間に血液がたまる硬膜外血腫に典型的と言われていますが、硬膜下血腫でも約1/3にみられます。

 意識がある場合は頭痛を強く訴えますが、それ以外は状態が悪いため訴えがない場合があります。また手足の麻痺が見られる場合もあります。

 診断は頭部のCT検査で行います。CT検査で手術の必要がある場合は、手術で血腫を取り除いたり、頭蓋骨を取り除いて脳の周りの硬膜を開放する外減圧術という手術を行ったりします。

 急性硬膜下血腫は、脳の傷を伴わない硬膜外血腫に比べ回復は難しくなります。たとえ手術を行っても、死亡率は55%に達します。脳内にも血腫が見られる例や、60歳以上の高齢者、意識障害の強いものほど死亡率が高くなります。

 急性硬膜下血腫などの頭部の外傷は死亡率が高いため、ヘルメットを付けるなどの予防が大切です。

 頭部の怪我の病院到着前の救護は、二次的な脳の損傷を最小限にするための処置が必要です。これらはもっぱら救急隊員によって行われるため、迅速な119番への通報が必要です。

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