2024年10月
【水曜】過敏性腸症候群
長期にわたって便が緩かったり、下痢が続いていたり、逆に腹痛と便秘が続いていたりしませんか? こういった症状の原因は様々考えられますので、心当たりがある方はまずは受診していただき、必要な検査を受けてください。採血や内視鏡検査、画像検査などで原因がわかれば、その治療になるわけですが、いずれの検査でも「特に異常なし」という場合もあります。その時に考えられるのが、過敏性腸症候群です。
先進国に住む20~40代に多いことから、ストレスが背景にあると考えられています。過去の報告では有病率は10%ほどといわれており、決して珍しいものではありません。
胃腸はストレスに弱く、自律神経が乱れると、便通にも異常が出るのです。夏になると、食事量が減るというのもそれが原因です。また、遺伝的素因があることも言われています。
さて、この過敏性腸症候群にはどのような治療があるのでしょうか。基本的な考え方はストレス回避と刺激物の除去です。
もしストレスの原因となるものがハッキリとしているのであれば、可能な限りそれを回避するようにします。しかし、学校や会社、家族関係などであれば避けることが難しいのが現実です。また、日常生活で暴飲暴食や喫煙、アルコールや刺激物の摂取などがある場合は、生活習慣の改善を行うことも重要です。
腸内環境を整えるために、乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトや飲料を適度に摂ることも有効と言われています。
これらを行ってみても、改善が見られない場合は薬物療法を行います。過敏性腸症候群は症状により下痢型・便秘型・混合型と分類されます。それぞれの型に応じて薬を使い分けていきます。また、漢方薬にも使用できるものがありますので、希望される場合は主治医に相談してみてください。
薬物療法と同時に心理療法を併用することもあります。こちらはストレスの原因となるものに慣れさせたり、受け止め方を変えることで過剰な負担を感じないようにさせるものです。
長く続く便の異常がありましたら、まずはお気軽に医師に相談してみてください。