2024年10月
【月曜】突発性発疹
突発性発疹は乳幼児期にみられるウイルス性の感染症です。
ヒトヘルペスウイルス6型やヒトヘルペスウイルス7型によって引き起こされます。
急に高熱が出ることから「突発性」と呼ばれています。
ほとんどのお子さんが2歳までにヒトヘルペスウイルス6型、3歳までにヒトヘルペスウイルス7型に感染するとされており、成人の抗体保有率は90%以上と言われています。
お母さんから臍の緒、すなわち臍帯血を通じてもらった免疫のおかげで赤ちゃんは生後6か月頃までは感染を起こしにくくなっています。
そのため、生後6か月以降に感染することが多く、昔は赤ちゃんの知恵がついてくる1歳前後で発症することから「知恵熱」と呼ばれていました。お子さんの最初の発熱はこの突発性発疹であることが多いです。
ヒトヘルペスウイルス7型はヒトヘルペスウイルス6型より遅れて感染することが多いので2歳から3歳で2回目の突発性発疹症として経験されることもあります。
多くはお父さん、お母さんとのスキンシップによって感染するとされています。約10日の潜伏期間ののちに急に38度から40度の発熱で発症します。
熱が3日から4日程度続きますが、この間は高熱にも関わらず比較的機嫌はよく、鼻水や咳といった風邪症状はあまり出ないことが多いです。
熱が下がった後数時間から24時間で発疹(赤いぶつぶつ)が出現します。
最初は胸やお腹を中心に出現し、その後、発疹は顔に広がり、手足に出ることもあります。
発疹は2日から3日で痕を残さずに自然と消えていきます。発疹にかゆみは伴いませんが、発疹の出ている間は機嫌が悪いことが多いです。
突発性発疹症は、通常、特別な治療を必要としません。しかし、高熱が出てぐったりしている、あるいは、ぐずっているような場合には、解熱剤を使用します。また、お子さんが十分に水分を摂取できるように注意し、脱水症状を予防することも大切です。
突発性発疹症が重症化することは稀で合併症もあまりみられませんが、熱性けいれんを引き起こすことがあります。
初めての熱性けいれんの原因が突発性発疹症であることはしばしばみられます。
突発性発疹症は、乳幼児期に一度は経験することが多い病気で、適切な処置を行えば大きな心配は不要です。
しかし、何か異常がみられる場合には、早めに医療機関を受診していただくことが大切です。