2024年11月
【木曜】今年のインフルエンザワクチン
現在使われているインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありません。インフルエンザウイルスの流行株とワクチン株の一致率は毎年異なるため、有効率は年によって差があります。しかしインフルエンザの発病を予防することや、重症化や死亡を予防することに関しては一定の効果が認められており、「重症化」を予防することがインフルエンザワクチンの最大の目的です。
乳幼児に対するインフルエンザワクチンの有効性は、成人よりは低いため、乳幼児をインフルエンザ感染から守るためには、ワクチン接種に加え、周囲の大人が手洗いや咳エチケットを徹底することや、流行期は人混みを避けることなどで、乳幼児がインフルエンザウイルスに曝露される機会を出来るだけ減らす工夫が重要です。
これまでインフルエンザは、毎年かならず主に12月から3月にかけて流行していましたが、新型コロナウイルス感染症の発生後かなり小規模な流行にとどまり、以前に比べ流行期も短く、流行シーズンも以前とは違う様相を呈しています。ここ数年、インフルエンザの大きな流行がなかったため、インフルエンザに対する免疫が低い人が増えていることは確かです。例年通り12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいでしょう。ワクチンの供給については、毎年十分量のワクチンが製造されていますので、よほどのことがない限り不足する可能性はないと思われます。
また今年から注射ではなく、鼻腔に噴霧する点鼻のインフルエンザワクチンも使用できます。ただ、今回のワクチンは生ワクチンであること、適応は2歳から18歳であること、ゼラチンを含んでいることなどに注意が必要で、供給量も十分ではありません。
インフルエンザワクチンとほかのワクチンとの接種間隔についての制限はありません。同じ日に接種することも可能です。
過去にインフルエンザワクチン接種で、ショックや重症アレルギー、アナフィラキシー症状がでたことのある方は、接種は控えたほうが良いでしょう。また鶏卵摂取で強いアレルギー反応が出る方も注意が必要です。
インフルエンザワクチン接種に際しては、かかりつけの先生とよく相談してから接種することをお勧めします。