2025年5月
【月曜】子どもの溶連菌感染症
子どもの溶連菌感染症は、主にA群溶血性(エーぐんようけつせい)レンサ球菌によるもので、喉に無症状で保菌しているお子様もいますが、多くは発熱やのどの痛みを特徴とします。特に3歳未満では高熱が出にくい場合もありますが、のどの痛みや赤い発疹が見られることがあります。また、くびのリンパ節が腫れることも一般的な症状の一つです。このような症状があれば溶連菌感染症が疑われますので、小児科を受診してください。迅速(じんそく)キットなどでの検査で診断することが可能です。
この溶連菌感染症の後、まれに糸球体(しきゅうたい)腎炎を併発することがあります。これは免疫が腎臓に影響を与えることで血尿、むくみ、高血圧を引き起こします。すべての溶連菌感染症で腎炎が起こるわけではありませんが、症状や医師の診断により尿検査をすることがあります。
また、治療が不十分な場合には、リウマチ熱という全身性の炎症性疾患を発生することがあります。リウマチ熱は心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)や関節痛、発熱、皮膚の赤みやブツブツを引き起こし、長期的な健康被害につながる可能性があります。
さらにまれですが、劇症型溶連菌感染症(STSS)が発生する場合があります。この病気は急激な全身の炎症反応を特徴とし、高熱、低血圧、多臓器不全を引き起こし、死亡に至る場合もあります。危険性が高く、迅速な診断と治療が求められる重篤な疾患です。近年、劇症型溶連菌感染症の報告数が増加しており、注意が必要です。
溶連菌感染症の治療にはおもに抗菌薬が良く使われます。治療期間は通常10日間で、リウマチ熱や糸球体腎炎の予防のため、医師の指示に従いきちんと治すことが重要です。
溶連菌感染症は学校保健安全法に基づく「第二種感染症」に該当し、出席停止が必要です。抗菌薬治療を開始して24時間以上経過し、全身状態が良好である場合に登校が可能です。家庭内でも手洗いやマスク着用などの感染対策を徹底し、感染拡大を防ぎましょう。
飛沫感染や接触感染で広がりやすいため、手洗いやマスク着用、共有物品の消毒が重要です。また、症状が出たら早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが合併症の予防につながります。リウマチ熱、糸球体腎炎、劇症型溶連菌感染症などのリスクを軽減するために抗菌薬治療を適切に行うことが大切です。