兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2025年6月

【木曜】クループ(急性声門下喉頭炎)

 「クループ」とは急性声門下喉頭(こうとう)炎の意味ですが、一般の人には聞き慣れない医学用語です。「のど」とは一般には「咽頭(いんとう)」のことを言います。「クループ」が起こる「喉頭(こうとう)」は気管の上にあり、空気しか通りません。そこには声帯があります。以前はジフテリア感染によるものを真性クループ、そうでないものを仮性クループとしていましたが、三種混合ワクチンの普及によってジフテリアによる真性クループは日本ではほとんど無くなりました。

 感染症による炎症で「喉頭」、すなわち気管の入口付近が腫れる病気です。原因はパラインフルエンザ、RSウイルスなどウイルス感染がほとんどで細菌の感染はあまりありません。生後60日から5才までに多く、ピークは2才~3才です。

 主にウイルス感染により、声帯のある気管の上部入口付近が腫れて空気の通り道が狭くなります。そのため、犬が吠えるような咳や、息を吸ったときのゼーゼーとした特徴的な音、声がれなどが生じます。また、それに先行して鼻炎や風邪症状もあります。夜間に症状が悪化することが多く、通常は一週間程度で自然治癒することが多いです。

 小児の場合、空気の通り道が柔らかく、息を吸った時に狭くなりやすい、炎症で腫れやすい、免疫が未熟で感染しやすい、たんの排出力が弱い、自覚症状の訴えの判断が困難、病変が急に変化しやすい、喉頭の位置が高いという特徴があります。

 治療は、空気の通り道である気道にアドレナリンやステロイドの吸入などを行うことが多いです。稀ではありますが、気道が閉塞し、気管にチューブを挿入することが必要になる場合もあります。小児は病状が急変しやすいこともあり、家族にも説明して、慎重に経過を見ていきます。

 物を飲み込んで咽頭痛を訴えたり、多量のよだれが出る場合は、ウイルス性ではなく細菌性の場合もあります。その場合は抗生剤の投与や入院治療が必要になることがありますが、その様な症例は比較的稀です。

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