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健康情報テレホンサービス

2025年6月

【水曜】過食症

 「過食症」は食行動に関わる問題行動で、摂食障がいの一つです。逆の拒食症では、ボディーイメージが歪んで病的なまでに体型にこだわり、ひどく痩せていても太っていると強く認識してしまいます。重症化すると「ただ皮膚を被っただけの骸 骨のよう」になり、命に関わることさえあります。体型へのこだわりがこれほど病的ではないのが、過食症です。

 両者には多くの共通点があります。第一は、食べ物や食べ方をコントロール出来ず、食後の満腹感や満足感がありません。食事時間や空腹とは無関係に、絶えず食べ物から離れられず、衝動的に食べてしまう、目の前の物を全て食べ尽くさずにはおれない、食べ物をどう手に入れるかなどのことに体力・時間・金銭を費やし、生活や仕事に支障を来します。初期には、自分でも食べる量が異常だと感じるので、人の目から隠れて食べたり、食べ物がないと深夜でも買いに出かけたりします。重症化すると、他人の物を食べたり腐っていても食べたり、拾い食いをしたり、食べ物を万引きしたり、食べ物を買うためにお金を盗むことさえあります。

 第二の問題は、大量に食べた後、体型を気にして、下剤や利尿剤などの医薬品を乱用したり、過活動と言われる過激な運動に没頭したりします。拒食症では初期から、激しい嘔吐を繰り返して手の甲に吐きダコと言われる瘤を作ったり、歯のエナメル質が溶けて歯がボロボロになるなどのことがありますが、過食症では、重症化した時にこれらの嘔吐行動が出現します。治療が困難になるので、早い段階で受診しましょう。

 過食症と似ているのが、過食性障がいです。違いは、過食症では体型にこだわるために、食後に下剤などを乱用して体重を標準体重前後に留めていますが、過食性障がいでは、下剤乱用や嘔吐などの食後の埋め合わせ行動がなく、標準体重を大きく上回り、肥満となっていきます。過食症および拒食症が若い女性に多いのに比べて、過食性障がいは発症年齢が高く男性に多いのも特徴で、アルコール依存と合併することが多いようです。

 いずれにしても、精神的・身体的両側面からの治療が必要で、自助グループに所属することが勧められます。

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